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第257回「学術講演会」のお知らせ

  • 講演会会場風景
  • 石井教授(東工大)の講演
  • 上田氏(日本ペイント)の講演
第257回「学術講演会」が7月15日学士会館で、115名の聴衆を集めて、以下の2題のテーマで開催されました。
 1題目は、東京工業大学大学院社会理工学研究科人間行動システム専攻 石井 源信 教授より、『新たなる挑戦』〜トップアスリートから学ぶ〜』という演題でご講演頂きました。ご講演の内容としては、超一流から何を学ぶかをテーマに、トップアスリートが緊張や不安やプレッシャー対策をどのように講じてきたか、また壁にぶつかったとき、スランプに陥ったときどのように立ち向かい克服してきたかについて、武田美保選手(シンクロナイズドスイミング)、室伏広治選手(ハンマー投げ)、浜口京子選手(レスリング)、野村忠広選手(柔道)、高橋尚子選手(マラソン)、イチロー選手(野球)を例に紹介されました。一流選手に共通する特性とは、旺盛な意欲、集中力、信念に近い自信、極限の努力、ポジティブな考え方であるとのこと。トップアスリートから学ぶべきことは、目標や夢は限りなく大きく、今に気持ちを集中する、忍耐と粘り強さこそ成功者の持っている最大の武器であり共通点である、継続は力なり、天才は有限・努力は無限、超一流は超一流の努力をする、絶体絶命のピンチをチャンスに変える(ピンチこそチャンス!)とのことで、スポーツの世界に限らず、我々の業界においても成功へのカギとなる共通点が多くあると感じ、非常に刺激となった御講演でした。
 2題目は、日本ペイント(株)R&D本部 技術統括部 スーパーバイザー 上田 隆宣 氏より、『レオロジーなんかこわくない!数式のないレオロジー入門』という演題でご講演頂きました。レオロジーとは、物質の変形と流動に関する科学で、人間が触ってわかることを研究する学問。分析化学は化学的な性質の解明であり、人間の感覚ではわからない性質を測るのに対し、レオロジーは物理的な性質の解明であり、さわった感覚を測る。よって、人間は最も優秀なレオメーターであり、人間はみなレオロジストであると上田氏は言う。レオロジー測定の応用例として、エマルションタイプの入浴剤における乳化の安定性とレオロジーとの関係について、O/Wエマルションに水溶性高分子を配合したオールインワン化粧品のシェアシニングと使用感との関係についてのお話がありました。さらに、最近のレオロジー測定法として、電場ピックアップ法、ころころ粘度計についてのご紹介もありました。演題のとおり難しい数式のお話はなく、レオロジー初心者にも大変わかりやすい内容でした。最後には、右脳の話、2匹のかえる、どうしたら魚は餌を食べるか?、有能な企業戦士の共通点のお話など、研究に取り組む姿勢やヒトとの接し方など多岐にわたる内容についてお話を頂き、技術者としてのみならず企業人としても非常に興味深い御講演でした。本講演の内容は、上田先生のホームページ(http://rheo.sakura.ne.jp/)に掲載されております。(学術部会A)