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第249回「学術講演会」

  • 講演会全景(学士会館)
  • 佐用氏の講演
  • 杉本氏の講演
第249回「学術講演会」が2月18日学士会館で、152名(申込者187名)の聴衆を集めて、以下の2題のテーマで開催されました。
1題目は、(株)カネボウ化粧品 基盤技術研究所 主任研究員の佐用哲也氏より、『細胞の母体としてのヒアルロン酸』という演題でご講演頂きました。ご講演の内容としては、細胞老化の様々な研究のご紹介の後、ヒアルロン酸の三つの効果(細胞シールド、細胞の移動・増殖・分化、水分保持・弾力性)についての解説をして頂きました。そして、生体内でのヒアルロン酸の代謝制御の可能性についての研究知見をご紹介頂きました。化粧品において、ヒアルロン酸は保湿剤としては、極めてポピュラーな成分ですが、生体内で細胞の母体としての機能と代謝のメカニズムについては、まだまだ未知の部分が多く、化粧品だけでなく医薬の分野においても、非常に興味深い研究テーマであると感じました。
2題目は、岡山大学資源生物科学研究所 准教授の杉本学氏により、『宇宙での生活に向けた宇宙植物研究最前線』という演題でご講演頂きました。ご講演の内容としては、マスコミやインターネットで有名になった「宇宙ビール」のお話から始まり、ロシア宇宙科学アカデミー生物医学研究所との共同研究についての解説、宇宙環境を模した各国の完全閉鎖系実験のご紹介、宇宙農業、植物の環境適応能力、宇宙開発技術のスピンオフ・オン等についてご説明を頂きました。宇宙ステーションでの実験風景、ロシアのロケット組み立て風景等、普通では見ることのできない貴重な映像を沢山ご披露して頂き、大変興味深い内容でした。宇宙での生活は、まだまだ先の話であると思っていましたが、2020年にアメリカ航空宇宙局(NASA)とロシア連邦宇宙局(RFSA)が月面に基地を建設する計画が開始されるとのことであり、宇宙での食物生産という研究は急務で重要なデーマであることが認識できました。また、植物が活性酸素類による環境ストレスに対し、植物ホルモンを介して様々な遺伝子やタンパク質の発現をコントロールして適応していく様は、化粧品の研究開発において、何らかのヒントにもなるのではないかと感じました。