EVENT イベント
第263回「学術講演会」
第263回「学術講演会」が、7月18日学士会館に於いて100名の聴衆を集め、以下の2題のテーマで開催されました。
1題目は、日油株式会社 島田邦男先生より「化粧品防腐力の基礎と微生物学者達」という演題でご講演いただきました。島田先生は、東京農業大学客員教授を務めるとともに、日本化粧品技術者会をはじめ化粧品研究の分野でご活躍されております。ご講演では、前半に化粧品の防腐力に関て、後半に防腐に深く関る微生物の研究に従事した4名の学者についてお話をいただきました。前半は、製品に求められる防腐力を必要最少量の防腐剤で達成させるには、防腐剤のもつ力価と水・油・活性剤層などへの分配(存在量)を考慮した設設計が必要であることを、例えば油の種類により各層における防腐剤の存在量比が大きく変化することなど具体例を交えてお話いただきました。後半では、レーウェンフック・バスツール・北里柴三郎・野口英世と微生物研究にゆかりある人物を取りあげ、各人と関係のあった同世代の学者との感動や対立のエピソードなどを交えてお話いただきました。前半では実用的な、後半では過去の偉人達の思いを感じられるような、興味深いご講演を実施していただきました。
2題目は、味の素(株)イノベーション研究所フロンティア研究所食品官能特性研究グループ 野中雅彦先生より、『食品のおいしさに関する研究開発』という演題でご講演頂きました。おいしさに関係している寄与成分の分析方法、受容体を活用したコク味物質探索についてお話された後、一流の料理人(匠)の技を実際の商品に活用するお話がありました。ビデオカメラによる調理動作の測定、温度計測、ガス流量計による熱量測定等により、一流の料理人の調理操作条件を測定し料理をつくる過程を解析することで、シェフ製法と工業製法の違いを見出し、重要な要素を抽出して、実際の製造ラインを改良しているとのことでした。具体例としては、ホワイトソースのボテボテ感について牛乳投入時の攪拌速度を速くしソース中にでんぷん粒子をきれいに分散させることで改良、コーンスープにおいてはべたつかなく重いとろみを出すためにたまねぎを配合、中華(炒め物)ではプロと家庭の炒め方の違いを動的サーモグラフィーを用いて鍋温度・具温度を解析し、製造工程での炒め方を改良したというお話がありました。また、低カロリーマヨネーズのおいしさ向上技術として、油滴を減らさずに油を減らすために、特殊な食添用乳化剤を使用して多相乳化滴(W/O/W 型)を形成させ商品化させたお話や、冷凍野菜の品質改良として氷結晶の生成・成長を抑制させる技術についてのお話もありました。最後に、21 世紀の「おいしさ」は、お客様の要望を理解し満足させるような商品を作っていくことと締めくくられ、お客様へおいしい食品をお届けしたいとのお気持ちのあふれたご講演でした。(学術部会A)
1題目は、日油株式会社 島田邦男先生より「化粧品防腐力の基礎と微生物学者達」という演題でご講演いただきました。島田先生は、東京農業大学客員教授を務めるとともに、日本化粧品技術者会をはじめ化粧品研究の分野でご活躍されております。ご講演では、前半に化粧品の防腐力に関て、後半に防腐に深く関る微生物の研究に従事した4名の学者についてお話をいただきました。前半は、製品に求められる防腐力を必要最少量の防腐剤で達成させるには、防腐剤のもつ力価と水・油・活性剤層などへの分配(存在量)を考慮した設設計が必要であることを、例えば油の種類により各層における防腐剤の存在量比が大きく変化することなど具体例を交えてお話いただきました。後半では、レーウェンフック・バスツール・北里柴三郎・野口英世と微生物研究にゆかりある人物を取りあげ、各人と関係のあった同世代の学者との感動や対立のエピソードなどを交えてお話いただきました。前半では実用的な、後半では過去の偉人達の思いを感じられるような、興味深いご講演を実施していただきました。
2題目は、味の素(株)イノベーション研究所フロンティア研究所食品官能特性研究グループ 野中雅彦先生より、『食品のおいしさに関する研究開発』という演題でご講演頂きました。おいしさに関係している寄与成分の分析方法、受容体を活用したコク味物質探索についてお話された後、一流の料理人(匠)の技を実際の商品に活用するお話がありました。ビデオカメラによる調理動作の測定、温度計測、ガス流量計による熱量測定等により、一流の料理人の調理操作条件を測定し料理をつくる過程を解析することで、シェフ製法と工業製法の違いを見出し、重要な要素を抽出して、実際の製造ラインを改良しているとのことでした。具体例としては、ホワイトソースのボテボテ感について牛乳投入時の攪拌速度を速くしソース中にでんぷん粒子をきれいに分散させることで改良、コーンスープにおいてはべたつかなく重いとろみを出すためにたまねぎを配合、中華(炒め物)ではプロと家庭の炒め方の違いを動的サーモグラフィーを用いて鍋温度・具温度を解析し、製造工程での炒め方を改良したというお話がありました。また、低カロリーマヨネーズのおいしさ向上技術として、油滴を減らさずに油を減らすために、特殊な食添用乳化剤を使用して多相乳化滴(W/O/W 型)を形成させ商品化させたお話や、冷凍野菜の品質改良として氷結晶の生成・成長を抑制させる技術についてのお話もありました。最後に、21 世紀の「おいしさ」は、お客様の要望を理解し満足させるような商品を作っていくことと締めくくられ、お客様へおいしい食品をお届けしたいとのお気持ちのあふれたご講演でした。(学術部会A)
関連リンク
第263回「学術講演会」