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第164回技術見学会

  • 浴本助教によるスーパーコンピューターCrayXC50の説明
  • NMR装置を見学する参加者
  • 日清カップヌードルの技術を体験できる 「マイカップヌードル」作り
  • 抽出されたDNA
  • 理研の鈴木様のお話しを 熱心に聞く参加者
第164回SCCJ技術見学会参加レポート

12月11日に開催されました「第164回技術見学会」に参加いたしました。今回は、「カップヌードルミュージアム横浜」及び「理化学研究所横浜事業所(以下、理研)、横浜市立大学鶴見キャンパス(以下、横浜市大)のいずれか」の見学が行われました。技術見学会自体、私は初めての参加でありましたが、過去には化粧品や食品の工場、また環境について学習できる施設の見学なども行われています。化粧品分野はもちろんのこと、それ以外の施設の見学により、化粧品技術者、さらには企業人として幅広い知識を得られることが、本技術見学会の大きな魅力であると考えています。なお、理研と横浜市大は隣接した施設であり、今回の見学会では選択制であったため、理研について三輪から、横浜市大については入山からの報告となります。
 
今回の見学会においては、それぞれの施設で、以下のポイントで見学をしてまいりました。
・カップヌードルミュージアム横浜:日清の創業者である安藤百福氏がどのようなマインドで製品、価値を創り上げていったのか。また、体験型ミュージアムとして、企業価値をお客様に伝える工夫がどのように行われているのか。
・理研:日本で唯一の自然科学の総合研究所として、どういった研究が行われ、それを支える施設はどのようなものか。企業での研究開発に活かせる点はあるか。
・横浜市大:国内の大学とは一線を画した研究教育機関として、どのように理研と連携し、世界トップレベルの研究を行いながら教育を行っているのか。
 
まず、「カップヌードルミュージアム横浜」を見学しました。ここは、安藤百福発明記念館とも呼ばれ、インスタントラーメンの父と呼ばれる日清の創業者である安藤氏の生涯が、当時の時代背景や親しみやすいイラストを交えながら紹介されています。その中には、安藤氏の名言も散りばめられており、特に私は、「私はラーメンを売っているのではない、お客様に時間を提供しているのである」という言葉に刺激を受けました。つまり、インスタントラーメンを食品としてだけではなく、調理等を短縮し、お客様に「時間」という価値を生み出すモノとして見ていたということです。お客様に製品・サービスを提供している企業人として、最終的な製品・サービスそのものの価値は当然ながら、その先のお客様の生活や人生を見据えて、どういった価値を提供すべきなのか、そういったところまで思いを巡らせる必要があると気持ちを新たにしました。他の参加者の方々からも、企業で働いている人は必ず行くべき、との声も出ていました。皆さまも安藤氏の思考、言葉に触れ、是非刺激を受けてみませんか?その他、日清カップヌードルに活かされている技術を、オリジナルのマイカップヌードル作りを通じて体験できるコーナーもあり、日清という企業の価値を子供から大人に至るまで、楽しみながら知ることができる充実した施設でした。
 
続いて、理研を見学しました。理研では、研究支援部の佐藤様より施設概要、沿革等のご説明がありました。理研と聞くと、最先端の研究機関というイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。もちろん、遺伝子解析施設、フーリエ変換イオンサイクロトン共鳴質量分析装置等の研究施設、またそれに付随する最新の研究が行われており、そのイメージに間違いはありません。一方で、それと共に「研究成果の社会還元」ということを強く意識されていることを、今回の見学会を通じ認識を新たにしました。それゆえ、企業との共同研究も盛んで、明治のVAAM、花王のニュービーズ等、多くの製品に理研の成果が活かされており、思った以上に身近な存在として感じることができました。また、NMR共有プラットフォームを始め、企業研究とも連携できる地盤が整っており、積極的に連携を図ることで、研究成果の社会還元を共に加速可能であると感じました。その後、実際に研究施設に立ち入らせていただき、研究員の鈴木様より、ゲノム科学についてのご説明を受け、実際にRNA、DNAを抽出したものを見せていただくなど、研究の一端を覗かせていただきました。
 
一方横浜市大では、世界最大級950MHz NMRを含む高性能NMR6基が設置されているNMR棟を見学しました。タイミングよくNMRが停止していたため、強力な磁場が発生しておらず、NMRを間近で見て触れることができました。フジテレビ系ドラマで実際に撮影/放映された映像を見ながら、当時の撮影秘話を聞くことができました。NMRが稼働しているとボールペンも持ち込めず、眼鏡も使用できないなど、いかに磁場が強力であるかを理解することができました。理研のNMR利用は、タンパク質の構造解析が中心ですが、横浜市大ではガラスなど素材の構造解析の利用が増えているようです。隣接する研究機関であっても、得意とする素材の種類が異なっており、幅広く企業ニーズに応える連携環境が整っていると感じました。その後、スーパーコンピューターCrayXC50を見学しました。日本に3台しかなく、残り2台は気象庁の天気予報に主に使われる高性能スーパーコンピューターだそうです。学生の就職先として化粧品業界の人気が高いため、3年次学生実験では、肌の潤いに関わる「アクアポリン3」の働きを、このスーパーコンピューターを実際に使ってシミュレーションしているそうです。理研の多くの研究員が横浜市大にて客員教員として参加しており、研究機関と教育機関が機能的に連携していることを実感しました。
 
今回技術見学会に参加させて頂き、普段自らの会社に閉じこもっているだけでは得られない知識や発見を得ることができました。また、途中の昼食では、参加されている方々との交流も図れ、自分の見識を深めるだけではなく、横の繋がりも得られる有意義なイベントであると感じました。このようなイベントを企画・運営された皆様、見学をさせて頂いた施設の皆様に心より感謝いたします。(SCCJ広報委員会)
技術見学会では、このように、普段業務ではなかなか触れることのできない、施設や工場の見学を行っております。皆様も会社から一歩出て、技術見学会に参加されてはいかがでしょうか? 施設見学にご協力いただきました各施設の皆様、またご参加された皆さま、ありがとうございました。次回も技術見学会へのご参加お待ちしております(渉外部会)。

 
2019年12月20日
SCCJ広報委員会 三輪 隆博(株式会社ポーラ・オルビスホールディングス)
SCCJ東日本支部 渉外部会 入山 俊介(株式会社資生堂)

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