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第213回講演会(西日本)

  • 南雲吉則先生
  • 川島一公先生
第213回講演会を2022年2月4日(金)にオンラインで開催いたしました。
関係者を含み112名と多くの方にご参加いただきました。

1題目は、ナグモクリニック 南雲吉則先生から『血液栄養解析による美肌とがん予防』と題して、生活習慣の改善によるがん予防、光がもたらす医学的効果についてご講演いただきました。
南雲先生は乳腺専門医で、バスト専門のナグモクリニック総院長として各所で診療を行うかたわら、多くのテレビ出演をされ、書籍も多数、執筆されています。
がん予防に関しては喫煙、飲酒のリスクをお話しされ、飲酒習慣者、喫煙者が減少しているにもかかわらず、がんは増えている。食生活が原因で、がん細胞は糖を利用して成長するので精製した糖質(白米、小麦粉と砂糖)は良くなく、がんを予防したい場合は、雑穀玄米や黒パンなど未精製の穀物に切り替えることが重要。もし、がんになってしまったら、糖質を極力避け、白米、白いパン、白い麺、ポテト、砂糖と小麦粉で作ったお菓子の「白物5品目」を控えることが必要とお話しされました。
さらに悪い油があることをお話しされ、サラダ油(リノール酸)は酸化しやすく、炒めものに向いておらず、また体内でアラキドン酸に代わって、炎症を起こす原因になるため、使用は避けるべきで、加熱する料理には、加熱しても酸化しにくい油を使い、サラダ等の加熱しないものにはオメガ3(荏胡麻油、亜麻仁油)が良いとお話しされました。
また、ビタミンDはがん予防に非常に重要であるとお話しされ、光がビタミンD生成に不可欠であることや、皮膚炎の根治に有効であるとお話いただきました。私どもが聞いている範囲では光を浴びることのデメリットの報告も多く、医師の指導に従った施術が必要と感じました。
先生が開発された健康診断等の血液検査結果を入力するだけで、未病状態の解説や改善方法がわかる「未病アプリ」(無料)の紹介もありました。
ご興味のある方はお試しいただきたいと思います。
健康に関する幅広いお話をいただき、改めて食習慣の改善の必要性を実感しました。

2題目は、インテグリカルチャー株式会社 川島一公先生から『培養肉の開発はどこまで進んでいるか?』と題して、タンパク質源の生産供給問題の解決策として注目されている培養肉について、作出方法の基礎的な知見、社会実装のための国内外の技術動向についてご講演いただきました。
川島先生は幼少期の頃に、自宅の庭にあった欅の葉にできたこぶ「虫えい」を見たことがきっかけで細胞組織の制御に憧れたそうです。「虫えい」は寄生した虫が出す刺激に反応し、植物の一部が異常成長してできるものです。
先生はその頃から細胞や細胞組織を使い、様々な素材や機械がつくれるのではないかと思われていたそうです。
初めに培養肉に関して関与している企業の増加について、ここ数年で参入が著しく増えていることをお話しされていました。
培養肉で一番の問題はコストになります。先生はインテグリカルチャー株式会社で培養肉などの可食部の生体組織を安価に生産し、制御する装置カルネット システムを発明され、そのシステムについてわかりやすく解説していただきました。
カルネット システムは一言で言えば、「体中の仕組み」を再現しているシステムで、体内では臓器間相互作用(臓器が出す有用因子が血管を通って他の臓器に届き、影響を与え合う機能)に似たシステムで、一般的な培養法では突破し得なかった大幅なコストダウンを可能にしています。
食品や食品添加物から培養液を作り、安全性に問題のないペースト状の培養フォアグラの実用化が進んでいるお話をいただきました。しかし、ペースト状よりハードルの高い固形の培養肉の実用化にはもう少し時間がかかるようです。近い将来、安価で美味な培養肉が実用化される日を楽しみにしたいと思います。
他にも細胞培養の技術の様々な分野におけるカルネット システムの展開についてもお話しいただき、難解な細胞培養技術について理解を深める良い機会になりました。