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第36回 勉強会 ワークショップ

  • 第36回勉強会 代島裕世先生
  • 第36回勉強会 高橋智幸先生
  • 第36回勉強会 田村英子先生
第36回勉強会ワークショップを2月16日に『SDGsの理解を深める』というテーマでいろいろな角度から3名の講師の先生をお招きしてオンラインで開催しました。

 まず、初めの講演は、SDGsを通じて社会問題への解決に取り組んでおられるサラヤ株式会社の代島裕世先生より、「SARAYAのSDGsビジネス」の演題でご講演いただきました。
 サラヤ株式会社では、1970年頃に家庭洗剤による河川の汚染問題がクローズアップされた事をきっかけに、「手肌と地球にやさしいヤシノミ洗剤」を開発上市されました。その原料として、パーム油を使用していたことをきっかけに、ボルネオ島でのアブラヤシプランテーションによるアジア最大の熱帯雨林の破壊に直面し、その問題解決に取り組む為に2001年に設立されたRSPO認証するパーム油を使用し、持続可能なパーム油に貢献されてきました。
 また、アフリカ・ウガンダでの子供たちの命を守る手洗いの普及活動を支援し、2010年「SARAYA 100万人の手洗いプロジェクト」を始動し、2019年新型コロナ(COVID-19)以前より、手指消毒液を生産してきた。それらの話を通して、「衛生」「環境」「健康」の事業分野で、ビジネスを通じて社会課題を解決することを目指すSARAYAの歩みの話をお聞きしました。
 さらに、新規事業で、スキンケア製品の開発についても解説いただきました。講師の代島先生の熱気ある現場感覚あふれる具体的なお話に感動し、多くの質問も寄せられました。
 今、話題となっている「SDGs」に対して、企業としての具体的な取り組み、また、実際の経験の積み重ねと課題を超えてきたご体験談をお聞きすることができました。大変有意義なご講演でした。

2題目の講演は、関西大学副学長の高橋智幸先生より「大学から見たSDGs ~関西大学の取り組みを例として~」の演題でご講演いただきました。 
 高橋先生からはSDGsの基礎知識として、元々、2000年9月にニューヨークで開催された国連ミレニアム・サミットで採択されたMDGsミレニアム開発目標(Millennium Development Goals: MDGs)では途上国が抱えている開発的な問題が課題として挙げられており、先進国はそれを支援する側であったのに対し、SDGsでは開発面だけでなく経済・社会・環境に対応し、先進国にも共通の課題として設定されているとのことをお教えいただきました。
 また、SDGsでは「Leave no one behind」と掲げ、誰一人も取り残さない社会を誓っており、MDGs の課題をSDGsに照らし合わせながらどの概念が包括され、何が付かされたのかを分かりやすくご講義いただきました。さらに、ポストSDGsの最有力はWell-beingであるのではないかというご提案もあり、SDGsを取り組んだその先の未来をイメージすることが出来ました。
 また、関西大学では以前より環境や人権問題への取り組みを深めていた経緯もあり、教育を含めたSDGsへの取り組みに大変力を入れられております。多種に渡る講義において各分野のSDGsの考え方をカリキュラムで学ぶだけではなく、ワーキンググループを作って自主的に活動したり、他大学と一緒に見解を発表したり、まさに教育自体もSDGsであることを知ることが出来ました。
 SGDsの考えがインクルードされた学生の今後の考動にも着目していきたいと感じ、大変貴重なご講演でした。

3題目の講演は、花王株式会社 田村英子先生より「プラスチック資源循環に向けた花王の包装容器の取り組み」の演題でご講演いただきました。
 田村先生はもともとメイクの商品開発をご担当されておりましたが、お子様が生まれてから、将来の地球環境に対する関心がより強くなり、リサイクル関連の業務を希望され、携わられることになったそうです。
 日本では、PETボトルの回収率は90%を超えていますが、販売量に対するボトルとボトルのリサイクル率は15.7%とまだまだ低く、プラスチックリサイクル率はサーマルリサイクル(ごみを焼却して発電などに利用)の比率が高く、それを除くと約30%程度にとどまるといった内容も印象的でした。
 花王株式会社での取り組みとして、地域と連携して詰替えパックを回収し、おもちゃのブロックに再生するリサイクリエーション、競合メーカーと連携した詰替えフィルム容器リサイクル技術の開発、東京都、競合メーカーと連携したボトル容器からボトル容器への水平リサイクル技術の検証についてご紹介されました。
 大規模リサイクルのためには、企業、工業会、政府・自治体との連携、生活者からの理解、リサイクルしやすい容器設計が重要で、競合から協働へ、分散から集中へ舵を切るべきとのことでした。
 聴講の方々より多くのご質問が寄せられ、化粧品・トイレタリーに携わる企業の方々にとって、非常に参考となる、大変貴重なお話をご講演いただきました。