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第259回「学術講演会」

  • 講演会場風景
  • 井上氏の講演
  • 柿木氏の講演
1題目は、(株)トキワ 井上 隆氏より「化粧品容器設計と意匠について」という演題でご講演いただきました。井上先生は、(株)資生堂に入社されてから、製品の検査・品質保証・材料購買・パッケージプロデュースなどの部署を経験され、長年に渡り容器素材・設計に携われてこられました。また、(株)資生堂を退社されてからは(株)トキワの新規外装設計及び開発をご担当されております。ご講演の内容としては、大きく5つに分けてお話しいただきました。(1)1950年から現在までの化粧品容器の素材の進化が食品業界における素材開発に追随して行われてきたこと。新しい素材開発の時代から環境のことを考える時代になっていること。(2)容器設計時に注意項目を書き込むチェックシートを活用することで、過去に起きた問題の発生を防ぐと共に社内教育としても活用できること。(3)容器材質と内容物とのマッチングは、商品設計において最も重要であること。(4)お客様視点での容器設計・意匠の具体例。(5)これからの容器材料について、高反射率の鏡、多層成型など多くの事例をもとにお話しいただきました。特に、(2)と(3)の内容は商品設計時に最も重要な内容ですが、経験則にもとづくところが多く非常に難しいところとされています。しかし、今回はスライドで実際に使用されたチェックシートや材料表などをご説明いただき、直ぐに実務に活用できる内容でした。
2題目は、自然科学研究機構 生理学研究所 柿木隆介教授より、「ヒトの痛みと痒みの脳内認知機構」についてご講演いただきました。柿木先生は、脳波に加え、脳磁図(MEG)機能的MRI(fMRI)、近赤外線分光法(NIRS)などの機器を用い、体性感覚、痛覚などの脳内認知機構の解明や、言語、顔認知などの高次脳機能の研究を行っておられます。当日は、脳の活動を科学的に評価した「うそ発見機」の話を、TV放映の画像を用いご紹介いただいたり、「痛覚認知に影響する心理的要因」という内容を、長時間正座したときの足のしびれを例に、これまたTV放映の画像を用いご紹介があったりと、われわれが普段から経験している不思議について、脳の活動を視点に分かりやすく解説いただきました。また、痒みの脳内認知を研究するために、先生の研究室で痒み刺激だけを誘発する装置を開発し、痛みと痒みの認知の違いを明らかにした話など、脳に関し非常に多岐にわたるご講演をいただきました。これから益々、脳の評価技術が発展し、化粧品の使用感なども脳への刺激評価を通して理解できる日も近いかもと感じる講演でした。