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第273回 学術講演会のご案内

1題目は、(株)ヴィーナスプロジェクトの中村浩子先生より、『女心の最新事情〜本当に「女心と秋の空」なのか?〜』という演題で御講演頂きました。中村先生は、女性ファッション、ビューティイベントなどへの出演、女性マーケットがテーマの講演を多数され、企業における商品開発、インターネット、紙媒体などメディアの開発、ブランド・プロデュースなど、多岐にわたる活躍をされております。アベノミクスが成果を上げていると言われていますが個人消費は伸びていません。消費は「感情」がきっかけになりますので、女性の消費を促すには「女心」をつかまなければなりません。中村先生は、20代の頃から4半世紀以上にわたって女性誌制作の現場にかかわり、実際に約10,000人の読者モデルを取材し続けてこられました。これら経験より得ることが出来た「女心」を感じ取るチカラを背景に、データに頼らない「女心の実際」を明らかにして頂きました。ご講演では、女心から生まれた社会現象として「茶髪の理由」を、女心から生まれたヒット商品「VERY」創刊時に感じた「読者調査に基づいた企画の重要性」をお話されました。また、現代の女心トレンドとして、●「見られている私」とのギャップをカミングアウト、●心が消費する、●手の届く贅沢に揺れる女心、●「次の一手」を打つために、●癒しを提供するサービス、●無償の愛がビジネスをつなぐ、●揺れる女心に注目するなら、●ネコ的生き方に憧れて、●2016年11月1日今日の「女心」の9つのテーマに分けて女心について詳しくお話を頂きました。

2題目は、ポーラ文化研究所の鈴森正幸先生より、『明治・大正・昭和−化粧品の変遷 第1回 女性像とスキンケア化粧品の変遷』という演題でご後援をいただきました。明治以降の日本人の化粧は、伝統的な化粧から西洋文明の化粧を取り込み、模倣し、また、それを培ってきた日本独自の化粧意識との融合をはかりながら近代化の道を走るように進んできました。ご講演では、明治から昭和までを15期に分けて、各時代の社会像やスキンケア化粧品とその美容について詳しく解説されました。明治(1〜4期)は西洋化粧品の導入と模倣期、さらにその本格的導入期になります。例えば、これまでの伝統的化粧だったお歯黒禁止令となり、コレラ流行などにより石鹸の国産化が始まります。その後、大正(1〜3期)は日本の化粧への進展期、さらに近代化粧の確立期に入ります。昭和戦前(1〜3期)はその確立期が続き、太平洋戦争による停滞期になります。昭和戦後(1〜5期)は、新たな進展期と新成分と効果訴求期の時代、そして情報化の時代になります。例えば、紫外線防止効果を表すSPF指数を表記した製品が昭和55年に発売されます。

そして今、平成のスキンケア化粧品は「アンチエイジング」と「ホワイトニング」で2つのテーマがあります。つまり、メラニン生成などの科学的裏付けの高度化と「幹細胞コスメ」など最先端技術によるスキンケア製品の開発は、サイエンスコスメの時代となってきました。121年間にわたるスキンケア化粧品の変遷のご講演でしたが、次回の予定のメイクアップについての鈴森先生のご講演も楽しみにしたいと思います。