EVENT イベント

第200回「講演会」

  • 水野 雅史先生
  • 会場全景
9月3日(水)に大阪薬業年金会館において、第200回の大阪支部の講演会が開催されました。今回の講演会は『食品に含まれる機能成分による腸管免疫制御機構』と題し、多糖類による炎症性腸疾患の制御機構を中心とした講演を頂きました。参加者は71名で、特定保健用食品等の機能性食品が注目されている中、難しい専門的な内容ではありましたが、ご講演の後の質疑応答は予定の時間を過ぎるほど活発に行なわれ、熱気に包まれた雰囲気の中、充実した大変有意義なご講演でした。

炎症性腸疾患は厚生労働省で登録されている特定医療疾患、いわゆる難病と呼ばれている疾患の一つで、下痢、腹痛、発熱の症状を示す病気です。原因は必ずしも解明されていないものの、食物環境の変化が原因とも言われ、患者数は増加傾向を示しています。炎症性腸疾患は、大腸の腸壁が厚くなる潰瘍性大腸炎(UC)と、腸壁が薄くなるクローン病(CD)に分類され、患者の腸管粘膜付近では活性化した免疫細胞の増加が見られます。そこで、炎症状態にある生態内で腸管粘膜を模した系として、LPS処理によって活性化したマイクロファージ様培養細胞と腸上皮培養細胞による共培養系によりin vitroでの腸炎モデルを設定し、腸炎モデルマウスで検証することでin vitroモデルを構築しました。そして、免疫賦活物質として知られている多糖類を中心として炎症性腸疾患を抑制できる食品因子について調査を行いました。その結果、エゴマやピーマンに多く含まれている低分子多糖類であるルテオリン、シイタケに多く含まれる高分子多糖類であるβ—グルカン(レンチナン)が抗炎症作用を有することを確認しました。更に、レンチナン高含有シイタケ摂取した群は、レンチナン低含有シイタケ摂取群と比較してハウスダストに対するアレルギ反応の改善効果を確認しました。

また最近の研究成果として、0.1%パイナップル由来のグルコシドセラミドの経口摂取により、皮膚の改善効果があることをヘアレスマウスで確認しました。この現象について、血中のサイトカインの測定で減少変化が確認されており、経口摂取によりアトピー性皮膚炎の発症を抑制しているのではないかと考えています。

関連リンク
第200回「講演会」