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多毛症 [hirsutism]
女性では硬毛（終末毛）が普通見られない部位、たとえば顔面、胸、太ももなどの体毛の発育が促進され、太い過剰の毛が生えることをいう．その原因は男性ホルモンの産生過剰と、毛包組織における男性ホルモンに対する感受性が高まることにあるとされ、過剰に男性ホルモンを産生する臓器によって、卵巣性、副腎性、特発性の3種類に分類される．実際、多毛症になると血中の男性ホルモン量が上昇し、主要な男性ホルモンのテストステロンを活性型の5α-デヒドロテストステロンにする酵素の5α-レダクターゼ活性が高まる．とくに、毛包の毛乳頭で5α-レダクターゼ活性が高くなるとされるが、男性ホルモンが遺伝子レベルで作用するさいに結合する男性ホルモン受容体は、正常人と変わらないと報告されている．また、ほかの男性化の傾向として、たとえばにきび、無月経、陰核肥大などを伴うこともある．海外ではいくつかの症例が報告されているが、日本ではきわめて少ない．（濵田和人）