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超微粒子無機粉体 [ultra-fine inorganic powder]
おもに製品に着色力、隠ぺい力、被覆力を与えるために用いられる白色顔料(酸化亜鉛や酸化チタン*)を超微粒化したもの.ファンデーションなどで問題となる白浮きの解決をはかり、さらに紫外線遮へい効果を有するものである.顔料として用いられる場合、粒子径は0.2〜0.3 mmであるが、超微粒子無機粉体は0.03〜0.05 mmのものである.このため超微粒子二酸化チタンや酸化亜鉛は着色力や隠ぺい力が小さく、これらを配合した場合、透明性が優れ、紫外線を散乱する効果が非常に高くなり日焼け止め化粧品に適した粉体となる.無機粉体を微粒子化するにあたって、分散性の向上、光触媒反応の抑制、肌触りの向上の3点が課題となっている.超微粒子無機粉体は粒径が0.03 mm以下と小さいためかなりの二次凝集体が存在していることが多く、分散性を向上させるためにシリコーン、金属石けん、フッ素系化合物、アミノ酸、二酸化ケイ素(シリカ)、アクリル酸などの各種表面処理が施されている.光触媒反応に関しては、一般に化粧品用には光触媒活性の弱い結晶型であるルチル型が用いられ、表面もシリカ、アルミナ、ジルコニアなどの無機処理や、シリコーン、脂肪酸などの有機処理が施され、光触媒反応を極力低下させたものとなっている.その点酸化チタンは紫外線照射により生じた正孔と自由電子から有機物を分解する光触媒反応を有することがわかっており、粒子径が小さくなるとともに表面積が大きくなるため光触媒活性も増大し、化粧品に配合する場合品質を損なう要因となっている.手触りについていえば、超微粒子粉体も含めて無機粉体は非常にきしみ感が強く、化粧品の肌触りが悪化するため、レシチン、トリグリセリド、アミノ酸、キチン、キトサン、脂肪酸などの有機処理が施されている.これらの表面処理は肌触りを改善するだけでなく、化粧崩れに対しても有効である.(近亮)