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粘度 [viscosity]
流体(液体および気体)は応力が加わると流動するが、応力とせん断速度との関係はいろいろである.通常の液体では応力とせん断速度は比例関係にあり、その比例定数を粘度または粘性率といい、記号は通常hを用いる.また、粘度の単位は、SI単位系ではPa・s(パスカル秒)でありCGS単位はPoise(ポアズ)である.また、粘度の逆数は流れやすさを示す定数で、流動度という.液体の粘度液体の粘度は1 cP(センチポアズ)程度であり、n−ペンタン、エーテル、アセトンなどは通常の液体の中でもっとも粘度が小さい液体である.液体の中でも強い水素結合をもつアルコール類は粘度が大きく、さらにヒドロキシル(−OH)基を多数もっている多価アルコールや塘類の冷却液体の粘度はきわめて大きい.粘度は元来、水のようにレオロジー的に単純な液体(せん断速度によって粘度が変化しない液体)に対する概念として考えられたものであるが、コロイド分散液や高分子溶液のような複雑な物質のレオロジーでは、せん断速度によって粘度が変化するということがわかってきた.このために、せん断速度によって粘度が変化しない水のようなニュートン流体ではニュートン粘度、せん断速度によって粘度が変化するコロイド分散液や高分子溶液のような流体では非ニュートン粘度というよび方がそれぞれ使われている.
粘性
液体の内部にあって、その流動を妨げる一種の摩擦を粘性という.粘性を発揮するのは液体および気体の場合で、固体の場合は塑性とよばれて区別されている.これらの物性は、分子レベルまたは粒子レベルの観点からみると、隣接する分子間または粒子間の二次結合(ファンデルワールス力、水素結合力、絡み合い力など)に基づいて発現する物性で、温度によるその変化のようすは、気体と液体とでは非常に異なっている.気体では高速層の中の分子と低速層の中の分子が互いに飛び込み合い、突き刺さり合って両層の間に制動力が生じる.よって、温度が高いほど分子の熱運動は激しくなり、制動作用は強くなる.すなわち温度が高くなるほど、粘性は大きくなるのである.一方、液体では高速層の中の分子と低速層の中の分子が互いに分子間力で結合し、粘着し合うことにより両層の間に制動力が生じる.温度が高いほど分子の熱運動は激しくなるため、両層の粘着、結合がかく乱され、制動力が弱められる.すなわち温度が高くなるほど、粘性は減少するというわけである.(菅原享)