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マスキング香料 [masking fragrance]
ある種の臭いを感じると他の臭いが感じられなくなるという心理学・生理学的現象が知られているが、この現象を利用して不快な臭いを感じさせず、心地よい香りにするために使われる香料をマスキング香料、あるいはマスキング剤という．マスキングとは覆う、かぶせる、隠すといった意味である．不快な臭いには、化粧品の原料自体がもつ臭い（基剤臭）、化粧品の経時変化で発現する臭い、体臭、ごみやタバコの臭いといった環境不快臭などがある．とくに油脂、タンパク質、第四級窒素化合物などの分解臭、酸臭、アミン臭、硫黄化合物臭、塩素臭などがマスキングの対象となる．マスキングの手法には、不快臭に類似した臭いをもつ香料で、その不快臭をカバーする方法がある．このほかには不快臭を良い香りの構成成分として取り込む香料を利用し、調和させることによって不快臭を心地よい香りに変える方法も利用されている．（近亮）