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毛細血管 [blood vessel]
終末細動脈と終末細静脈の間に介在する直径5〜12 μmの細い血管をいい、枝分かれして広範な血管網を形成している.毛細血管は1層の内皮細胞と内皮細胞を取り囲む周辺細胞でできている.そのため薄い細胞壁(約0.5 μm)を通して物質の交換が可能である.血流は絶えず変化しており、生体は皮膚血流を調整することによって体温を一定に保っている.この血流変動を血管運動という.一般に皮膚の血流量は200 mL/minであるが、代謝が活発なときには、細動脈が拡張して血流量が増し、物質交換が盛んに行われるようになる.血管壁からはガス、栄養分、老廃物の交換が行われている.皮膚の毛包、汗腺、皮脂腺などの皮膚付属器官の周辺には多くの毛細血管が存在し、十分な酸素や栄養分を供給している.また、毛細血管は副交感神経を刺激することにより拡張し、反対に交感神経を刺激することにより収縮する.また、皮膚の中核温が上昇すると交感神経系の抑制が生じ、皮膚の毛細血管が拡張して、血流量は通常の約15倍まで増加する.血流量の調節にはエンドセリン、ノルアドレナリン、アセチルコリンなどの生体内物質が関与している.(片桐千華)