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容器の加飾方法 [decoration of container]
製品の商品性を高めるために意匠の一部として、あるいは高機能化を目的に、化粧品容器にはさまざまな表面加飾が施される．その種類には以下の方法がある．
（1）印刷
印刷にはインキ層が厚く立体感のあるシルク印刷、三次曲面にも印刷可能なパッド印刷、大量生産に適したオフセット印刷、濃淡の階調が豊かなグラビア印刷などがある．
（2）転写（トランスファー）
フィルムの上に印刷を行い接着層を設けた転写箔を容器側に1回の工程で移しとる方法．手軽に金属感や文字が表現できるホットスタンプ、金型内で成形と転写を同時に行うインモールド転写のほか、水面に浮かべたインキを直接被印刷物で写しとることで三次曲面にも転写可能な水転写なども使用される．
（3）塗装
通常の吹きつけ塗装のほかに、塗料の損失が少ない静電塗装、電解電極反応を利用した電着塗装、物性に優れ、表面硬度が高く、傷がつきにくい紫外線硬化塗装などがある．
（4）めっき
金属化処理のめっきにはおもに乾式と湿式がある．乾式には、真空中で蒸発したアルミニウムなどの金属や金属酸化物を被めっき物に付着させる真空蒸着や、同じく金属や金属酸化物を真空中でイオンによってたたき出し、被めっき物に付着させるスパッタリングなどの方法があり、一方湿式には、金属イオンを含む溶液中で電気分解などにより、被めっき物表面に析出させる方法がある．また、湿式めっきの可能な材質としては金属のほかに前処理したABS（アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂）、ポリプロピレンなどの樹脂がある．
（5）陽極酸化処理（アルマイト）
アルミニウムを電解液中で陽極酸化した後に封孔処理を行うこと．表面に保護層である酸化被膜を形成するほかに、さまざまな色調に染色することが可能な処理である．
（6）粗し加工
ヘアライン加工、化学的方法によるエッチング、物理的方法によるサンドブラスト、金型粗しなどがある．
（7）その他
表面に凹凸をつけることで立体感のある模様などが表現できるエンボス加工や、塗装した金属などの表面をダイヤモンドの刃で切削することで光沢面を得るダイヤカット加工などがある．
なお、印刷、塗装、真空蒸着などの前処理として密着性を上げるため、必要に応じてガス炎によるフレーミング処理やコロナ放電処理などが行われる．（佐藤達夫）