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立毛筋 [pilomotor muscle]
真皮内を斜走して毛包に付着している平滑筋の一種．立毛筋が収縮すると、毛が直立するが、これを立毛という．またそのさいに脂腺を圧迫して皮脂の排出を促す場合もある．立毛は寒冷ストレスや、恐怖、驚きなどの情緒性ストレスにより起こり、ヒトで観察される“鳥肌”は、毛の少ない部位の立毛筋が収縮することによって毛孔周囲が隆起して見える現象である．交感神経によって支配されており、ノルアドレナリンを神経伝達物質として、α-作用により筋収縮が起こる．毛が立つことによって、体表面を覆う空気層の厚みが増加すると、その層の熱伝導度が低下し、熱放散が減る．これは体温調節の観点から重要な意味をもっている．なお、立毛筋はすべての毛にあるのではなく、眉毛、まつ毛、眼瞼（がんけん）や鼻の小さい毛、口唇、腋窩（えきか）の毛にはない．（土屋徹）