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和漢植物エキス [Japanese and Chinese plant extract]
和漢の薬草からとり出された有効成分.薬の起源は、人類が天然物の薬効をみずから実験し、経験によったもので、広く動物界、植物界、鉱物界にわたっているが、数においては断然植物界に属するものが多い.これら経験によって薬効を知り、世に伝わるものを民間薬といい、世界各地、各民族によってそれぞれ特有である.そのうち、日本に伝わるものを和薬、中国に伝わるものを漢薬とよび、これらをあわせて和漢薬という.中国における漢薬の起源は紀元前3000年にさかのぼるといわれており、日本には、415年に新羅から漢方医薬が伝えられたとされ、後の徳川吉宗の時代に小石川植物園をはじめとする薬草園で輸入薬草が栽培されはじめている.現在日本で通常に流通する和漢生薬はだいたい150種で、ほかにまれに取り引きされる生薬は100種ほどある.一方、中国では1,700種に及ぶ生薬が流通している.日本における和漢生薬を見ると、そのいくつかは有効成分を抽出あるいはエキスの形で用いて、現代医薬になったものがある.抽出は、水、温湯からはじまり多種の溶媒によって抽出されることもある.(西田勇一)