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アジュバント [adjuvant]
アジュバントとは“助ける、振動する”という意味で、免疫増強剤として用いられている物質のこと．抗原と混合するなど組み合わせて使用することで、抗体を産生させる能力を増大させ、さらに免疫系を活性化して免疫応答を増強させる．実験段階ではさまざまな物質にアジュバント活性が認められているが、現在ヒトに対しては、アルミニウム塩やカルシウム塩が一般に使用されている．また、ワクチンのような治療薬の多くは、その効果を高めるためにアジュバントを加えてある．Freundは1947年に、抗原水溶液を等量の油（鉱物油85％、界面活性剤15％）と混合し、乳化させた状態で注射すると抗体の産生量が増大することを発見した．これがフロインド不完全アジュバント（Freund's incomplete adjuvant、 FIA）とよばれるもので、これに結核菌死菌やその菌体成分を加えたものがフロインド完全アジュバント（Freund’s com-plete adjuvant、 FCA）である．この完全アジュバントは実験で一般に使用されており、皮下、皮内または筋肉内に注射することによって注射局所に抗原を長期間とどめておき、持続的に免疫担当細胞を刺激して免疫応答性を顕著に増強することがわかっている．（鈴木惠子）