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オゾン層 [ozone layer]

オゾン(O3)はその約90%が地上から10〜50 km上空の成層圏とよばれる領域に集まっていて、この領域をオゾン層とよぶ.オゾンそのものの光吸収は210〜310 nmにあることから、オゾン層はUVC(→紫外線)を完全に吸収し、地表に到達させないフィルターとしての作用がある.UVB(→紫外線)領域の紫外線はオゾンの吸収領域にあるが完全に吸収することはできないため、オゾン層の減少により地球表面へのUVBの到達量は増加してきている(図).オゾン層の破壊によってできたオゾン層の穴をオゾンホールとよぶ.オゾン層の破壊は上空の空気が冷たい場所で起こりやすいため、南極上空、北極上空においてオゾンホールが確認されている.オゾンホールの拡大は地表の紫外線到達量を増加させ、オゾン層が1%減少すると地表に到達するUVBは2%増加するといわれている.また、皮膚がんが6%増加するともいわれている.
オゾン層の破壊は次のようなメカニズムによって起こる.大気に放出されたクロロフルオロカーボン(CFC、いわゆるフロンの一種)などは成層圏に約10年かかって到達する.成層圏には温度が−78℃以下になる冬季に硝酸および氷の結晶からなる極成層圏雲が生じる.そのエアゾール(エアロゾル)表面でCFCなどは太陽エネルギーを受け光化学分解を起こし塩素原子(Cl)や臭素原子(Br)を遊離し、その塩素原子がオゾンの酸素原子と結合し一酸化塩素となりオゾンを破壊する.生成した一酸化塩素はほかの酸素原子と反応して酸素分子を生成し、また塩素原子に戻る.この塩素原子はふたたびオゾンと反応しオゾンを破壊する.この触媒的な反応により1分子のフロンが1万分子のオゾンを壊すといわれている.(正木仁)

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