LIBRARY ライブラリー

起泡力 [foaming property]

洗顔料やシャンプーなどの洗浄料を使用したさいの、泡立ちの速さや生成する泡の量のこと.洗浄料がもつ機能の中でも泡立ちは重要な要素である.使用時に泡立つことにより、洗浄液が皮膚や髪から流れ落ちるのが防げる.また、泡は皮膚に対する摩擦を少なくし、シャンプーの場合は毛髪どうしのもつれを防いで指通りをよくするため、皮膚や髪を傷めず、快適な使用感を得ることができる.そのため、洗浄剤の性能の評価として起泡力の測定が行われている.測定法洗浄剤を機械的に泡立てたときに生成する泡の体積として評価できる.同時に、泡立ちの速さ、泡の質、泡の安定性などを評価することも必要である.起泡力の測定法には目的に応じていくつかの種類がある.
(1)落下法(ロス-マイルス法)
垂直に立てたガラス管内で試験液を一定の高さから一定速度で底部に落下させ、そのとき生じる泡の高さをはかって、これを起泡力とする.また、落下終了5分後の高さを泡の安定性として測定する.再現性が高く、JISの評価法としても採用されている(図).
(2)振とう法
試験液を入れた密閉容器を上下に振とうさせ、生じる泡の体積を測定するもので、簡便な方法としてよく用いられる.
(3)かくはん法
試験液を入れたミキサー装置を一定速度で回転させ、生じる泡の体積を測定する.強いせん断力を伴う測定法で、実際の使用条件に近いため実使用テストでの感覚による評価とも一致しやすい.また、石けんなど試験液が均一でない場合の測定に向いている.
(4)送気法
試験液中に取りつけた管から一定流量で空気を送り、泡の体積を測定する.この方法では、泡の体積と液体の体積の時間変化を測定することができる.起泡力を測定する場合、起泡力は試料の濃度、温度、水の硬度、汚れ物質の有無などの影響を受けるため、目的に応じて条件を調整して行われる.界面活性剤の起泡力石けんの場合、起泡力は脂肪酸のアルキル鎖長によって大きく異なり、炭素数12〜14の間で良好な起泡性を示す.濃度はcmc(臨界ミセル濃度)付近で起泡力と泡の安定性は最大となり、さらに濃度を増すと泡の安定性は悪くなる傾向を示す.シャンプーに用いられるポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩の場合も、石けんと同様に炭素数12〜14付近で起泡力が最大となる.なお、シャンプーなどの製品には、泡の安定性を高めるために、ほかに脂肪酸アルキロールアミドなどの非イオン性界面活性剤や、高分子などの添加剤も配合されている.(内川恵一、鈴木敏幸)

用語検索

索引