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屈折率 [refractive index]
屈折とは、光が異なる媒質AからBへ入射するとき、光の速度が変化して進行方向が変わる現象のことで(図)、光の入射角をθA、屈折角をθB、媒質A、B中の速度をνA、νBとすると、n=sinθA/sinθB=νA/νBの関係がなりたつ.nは定数で屈折率とよぶ.また、Aが真空のとき屈折率は物質B特有の定数となり、これを絶対屈折率とよぶ.屈折率にかかわる化粧品物性として重要なのは、屈折率差が高い界面ほど反射率が大きいことである.平滑性をもつ表面であれば光沢が高くつやが出る.逆に表面反射をおさえるため、ガラス表面のような反射が多い面に屈折率が低い二酸化ケイ素(シリカ)をコーティングする場合もある.なお、干渉色をもつ二酸化チタン被覆雲母(雲母チタン)の場合には、アナターゼよりも屈折率が高いルチルのほうが干渉光が強くなる.屈折率差が小さくても屈折率差が少しでもあれば反射が起こることを利用して、2種類のフィルムを数十層積層させて干渉フィルムを得ることができる.また、微粉末になると乱反射により白く見えるが、顔料としては屈折率が高いほど隠ぺい力が高くなる.化粧品用の粉末としては、ルチル型酸化チタンがもっとも隠ぺい力が高い.粉末と油分を混合する場合には、屈折率が同じシリカとスクワランを混ぜれば屈折や反射が起こらず透明になる(表1、表2).このように屈折率を制御することで、化粧品のつや、光沢などの質感や隠ぺい力などを調整することができる.