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化粧品の心理面に及ぼす効果 [the effect exerted on the mental side of cosmetic]
化粧品を使うことによって、ほっとした気もちになったり、リフレッシュしたりするのは経験的によくあることである.近年では、人の発する言葉だけに頼らずに、感情や感性の測定を行い、化粧品が人に快適感、満足感などをもたらす心理効果についても研究が始められている.図は、実験開始前の状態を基準として、評価パネルが洗顔料、化粧水、乳液を順番に使ったときに示したそのときどきの快-不快の度合情報を、別に記録しておいたパネルの発言とともに解析して、時間とともに変化する“心地よさ”を評価した報告の例を示している.機器測定による客観的な評価、生理的指標による評価系の確立が検討されており、たとえば、脳波データからさまざまな心理状態を定量的にとらえようとする試みとして、感性スペクトル解析装置を用い、化粧水塗布による心理的影響を推定評価した報告もある.すなわち、主観評価で使い心地感のよかった化粧水では、ポジティブな心理状態を反映する指標の増加が見られ、気分的な高揚感をもたらしている可能性が推定できるのではないかと期待されている.(高橋稔、土屋徹、宮田美紀)