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大脳辺縁系 [limbic system]

大脳旧皮質ともよばれる動物の時代からあった脳で、大脳新皮質の発達とともに周辺部に追いやられたいくつかの小型の脳の集まりのこと.扁桃核、海馬、帯状回、側坐核などがそれにあたり、恐怖や怒り、喜び、悲しみといった感情をつかさどる.脳に入ってきた五感の情報が大脳辺縁系で処理されたとき、生物の本能である個の維持、種の保存に対し好ましいと判断されたとき快、好ましくないと判断されたとき不快を感じる.この快、不快の基本的情動はさらに海馬にある記憶と照合され高次の情動となる.不快でかつ対処可能な状況と判断されたときには怒り、対処不能と判断したときには恐怖、判断できないときには不安という情動がそれぞれ発生する.これらの処理は非常にスピーディに行われ、さらに必要であればただちに筋肉に指令がいき反射的な行動を起こす.なお、こうした情報処理機構は鳥類や下等な哺乳類にも備わっており、厳しい環境の中でも生き残ってきたといえる.(奥田剛弘)

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