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二酸化チタン [titanium dioxide]
酸化チタン(IV)(TiO2)ともいう.イルメナイトを原料とする白色の微粉末で、結晶型によりルチル型、アナターゼ型、ブルーカイト型があるが、工業的に有用なのはルチル型とアナターゼ型である.ルチル型はアナターゼ型より結晶構造の密度が高く、近紫外部の光を吸収するためやや黄みを帯びている.20世紀初期にノルウェーで天然イルメナイトが産出され、その有効利用を目的として工業生産された.二酸化チタンは屈折率が高く粒子径が小さいので、化粧品では白色顔料として広く用いられている.隠ぺい力や着色力の大きさ、耐候性のよさや光学活性の低さから化粧品にはルチル型を用いることが多い.加えて市販品はアルミナ、二酸化ケイ素(シリカ)などで表面を処理してさらに耐候性、分散性を向上させており、ファンデーション、アイシャドー、ネイルエナメルなどに広く利用されている.近年では超微粒子酸化チタン(→超微粒子無機粉体)が開発され日焼け止め化粧品に用いられている.超微粒子酸化チタンは、粒子の大きさが可視光線の波長の10分の1と小さいため隠ぺい力や着色力は小さいが、400 nm以下の波長を吸収するので紫外線防御力に優れている.また、アナターゼ型は、塗料、化粧品用途のほか、触媒や触媒担体としても用いられるようになった.(近亮)