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二次汚染 [secondary contamination]
消費者による使用中の微生物汚染をいう.微生物による汚染は、化粧品の製造時に発生する汚染(一次汚染)と、この二次汚染に大別される.二次汚染は、消費者の手指や製品を使用する環境から微生物が混入し、製品自身の防腐性では微生物の増殖がおさえられない場合に発生する.たとえば、化粧クリームの場合、通常は内容物を直接手指で取るため、手指に付着している微生物が内容物に混入することになる.また、使用中にキャップを開けたままにすると、空気中に浮遊する微生物が落下して混入する場合もある.浴室のような湿潤な環境下での使用では微生物汚染の機会が増える場合もある.このようにして混入した微生物がもし製品中で増殖し、微生物汚染を起こすと、製品の品質劣化(腐敗、変敗による異臭や変色、粘度低下などの性状の変化)を生じたり、微生物が病原性である場合には使用者の健康被害を引き起こす危険性もある.化粧品メーカーでは、化粧品がどのような状況で使用され、使用に伴って微生物の混入が起こりやすいかどうか、また、製品の保管される場所が微生物の増殖しやすい環境かどうかを予測した上で、二次汚染を防止するためのさまざまな予防策が打たれる.基本的には、化粧品は消費者によって種々な状況下で多様な使用法で用いられることから、ある程度の微生物が混入することを前提とせざるを得ない.そのため、薬剤にあらかじめ防腐剤または類似の効果をもつ成分を配合したり、微生物の栄養源となりにくい原料を使用したりするなどの処方上の工夫を施して製品に防腐性が付与されている.また、使用時の微生物混入をできるだけ少なくするために、内容物が後戻りしにくいチューブを使用するなど、衛生的に使用できるような容器の工夫が行われる場合もある.企業としては、消費者が衛生的な使用法を行ってもらうよう啓蒙することも大切である.(中島靖夫)