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隠ぺい力 [hiding power]
顔料がもつ、光の反射と散乱、吸収によって下地を覆い隠す力のこと.白色顔料は反射と散乱により、黒色顔料は主として吸収により、有機顔料は吸収と散乱により隠ぺい力を示す.顔料の表面で反射される光が多いほど隠ぺい力は高くなるので、物質の屈折率が大きいほど大きな効果が望める.化粧品におけるその代表は、屈折率が高い酸化チタン*の粉末である.また、顔料と接している物質の屈折率も重要で、顔料と屈折率が近い場合には透明に近づき、隠ぺい力は低くなる.化粧品用の油分の屈折率はおおよそ1.4〜1.56で、この屈折率に近い二酸化ケイ素(シリカ)やナイロンと混ぜた場合には透明になる.顔料粒子は小さくなると表面積が増え反射が大きくなり隠ぺい力は増えるが、小さくなりすぎると逆に透明性が出てくる.粒子の大きさが波長の2分の1前後で隠ぺい力は最大になる.Mittonは隠ぺい力が最大になる粒子の大きさの計算式を次のように提唱した.D=(l/1.414n0p)×[{(nP/n0)2+2}/{(nP/n0)−1}]ここで、Dは白色顔料の最適粒子径、n0は分散媒の屈折率、nPは顔料の屈折率、lは入射光の波長を表す.(大野和久)