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美爪料 [manicure preparation]
爪を保護し、指先を美しく整えるための化粧品の総称で、爪の手入れをするネイルケア化粧品と、ネイルエナメル(マニキュア)を中心とする爪を彩るための製品の二つに大きく分けられる.
歴史
マニキュアは、ラテン語のmanus(マヌス=手)cure(キュア=手入れ)を語源とするといわれ、美爪料が爪と手指を含む“手の手入れ”をさすと認識されてきたことがわかる.同様にペディキュアは、pedis(ペディス=足)cureが語源といわれ、足の爪と指を含む“足の手入れ”をさすことがわかる.爪の手入れの歴史は古く、紀元前4〜5世紀ごろのインダス川流域では、爪を磨いたり、手の指先と足裏を染料で赤銅色に染める習慣があったといわれる.古代エジプトでも爪や手のひら、足の裏をヘンナで赤橙色に染める風習もあったといわれている.日本においてもその歴史は古く、平安時代の文献の中に爪を磨くための道具に関する記述が残っている.
種類と役割
(1)ネイルケア化粧品
爪にうるおいを与えるネイルトリートメント、爪のあま皮を整えるキューティクルリムーバー、爪を補強して割れや欠けを防ぐネイルガード、爪の表面をなめらかにして光沢を与えるネイルポリッシュ(ペースト状、固形)あるいはネイルポリッシュパウダー(粉末状)、爪を白くするためのネイルブリーチなどの種類がある.ネイルポリッシュ、ネイルポリッシュパウダーの主成分は無機系の粉末で、これを爪につけ、セーム皮(鹿の裏皮)などを利用したバッファーで磨いて爪上の溝を埋めることで表面をなめらかにし、光沢を与える.
(2)爪を彩るための製品
ネイルエナメルをはじめ、ベースコート、トップコート、そして塗布したこれらの製品の乾燥を早め、塗膜に光沢を与えるために塗布するネイルドライヤー、塗布したエナメルなどを落とすためのネイルエナメルリムーバーなどがある.ネイルドライヤーはネイルエナメルの乾燥を早め、皮膜に光沢を与えるためのもので、一般にエアゾールタイプで、原液には各種の油分が使われることが多い.また、同じネイルドライヤーのよび名で、爪に風を当てて乾燥を促す装置もある.このほか最近では、つけ爪などで爪のおしゃれを楽しむ女性も増えている(→ネイルアート).
使用順序
一般的な美爪料の使用順序は次のとおりである①すでにネイルエナメルが塗布されていれば、ネイルエナメルリムーバーで除去する.②爪やすりで爪の形を整える.③キューティクルリムーバーを塗布し、キューティクルスティック(プッシャー、オレンジスティック)の先端で軽くらせんを描くように押して爪上および爪のあま皮を整える.④ネイルトリートメントで爪にうるおいを与える.⑤必要であれば、爪磨き(ネイルポリッシュ、ネイルポリッシュパウダー、バッファーなど)で爪を磨いて表面をなめらかに整え、光沢を出す.⑥ベースコートを塗布する.⑦ネイルエナメルを塗布する.⑧トップコートを塗布する.⑨ネイルドライヤーで乾燥を促す.(角田依子)