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薬疹 [drug eruption]
薬剤の使用で皮膚、粘膜に生じる発疹のこと.疾病または身体のなんらかの異常に対し、その改善、予防、検査の目的で薬物を経口的、注射、吸入、注入などによって内用したさいに引き起こされた望ましくない反応である.なお、日本では外用薬を用いて同部位に生じた発疹については、薬疹に含めない場合が多い.その発症機序は大部分がアレルギー性であると考えられている.そのため皮膚テスト(パッチテスト)をはじめとするin vivo試験や患者の血清を用いた被疑薬物の抗体価の検査、リンパ球幼若化試験などのin vitro試験で診断されるが、in vitro試験の精度は現状では満足すべき状況にない.治療は、アレルギー性、非アレルギー性を問わず原因薬剤を中止し、他系統の薬物に変更することが原則である.原因薬剤としては抗生物質や鎮痛・解熱剤による薬疹が多い傾向にあり、その原因として、使用頻度が関係している可能性も考えられる.皮膚粘膜眼症候群型や中毒性表皮壊死症型の薬疹のように生死にかかわる例も存在する.このような重症型のさいには副腎皮質ホルモンの内服などの全身療法が適用される.(針谷毅)