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容器の安全性 [safety of container]

容器の安全性は、素材の安全性と使用時の安全性とに大別される.
素材の安全性
化粧品容器には食品容器のような法的規制はないが、通常は内容物と容器が接触しており、内容物を皮膚に直接塗布して使用するため、一般には食品容器に準じた素材が使用されている.使用される素材は有害物質、有害金属を含まないのはもちろんのこと、素材からの溶出に対しても食品衛生法で定められた厚生労働省告示第20号に適合した素材を使用することが好ましい.また、プラスチックへの添加剤、着色剤などの使用については、塩ビ食品衛生協議会やポリオレフィンなど衛生協議会などの業界団体の自主規制で定めたポジティブリストを参考に素材が選ばれる.なお、近年は使用後に廃棄された場合、環境に負荷を与えない素材を使用するよう努めることも大切である.
使用時の安全性
使用時の安全性を確保するためには、使用場面や使用方法を配慮して容器材質や形状、構造や容器強度などを吟味する必要がある.たとえば、ガラス製の容器などは輸送および使用時の破瓶を防ぐ手段として、瓶そのものの耐圧強度や製瓶時の不良防止に注意するのはもちろん、内容物の温度膨張を加味した適正な上部空間量が設けられている.また浴室などで使用する場合、ガラス製のものは万一落として割ったときに破片が飛び散ってけがをする可能性があるので、極力、プラスチック容器が使用されている.また、キャップなど、使用時に手で開けたり回したりして使用する部分については、手にあたる部位が鋭利になっていると危険であるので、その縁などはでるだけ丸みをつけるなど、その形状に配慮することも必要である.さらに使用者に正しく安全に使用してもらうために、容器、説明書、箱などに使用上の注意事項を記載して、安全性に万全を期す姿勢も重要であり、製造物責任法(PL法)の施行により安全性に配慮することがさらに重要になっている.
製造物責任法(PL法)
製品の不具合(欠陥)により生命、身体、他の財産に被害を受けた被害者が、裁判により損害賠償を請求しやすくするための法律.PLとは製造物責任(product liability)の略である.従来、被害者が製造者に損害賠償を請求するには、①製品の欠陥の存在、②欠陥と損害の因果関係、③製造者の故意、過失、の3点を被害者のほうで立証しなければならなかった.しかし、製造者の過失を被害者が立証するのは非常に厳しいことから見直しがなされ、被害者保護の観点から、①と②の2点のみを立証すれば損害賠償を請求できる、というPL法が成立、1995年に施行された.(鳥居晶仁)

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