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容器の遮光性 [light blocking effect]
化粧品に配合される成分には、紫外線や可視光線によって変質・劣化を生じるものがある.ここでは、可視光線から内容物を保護する方法(遮光方法)について述べる.容器を遮光するには、以下の方法がある.
(1)遮光性のある顔料を容器に練り込む、またはコーティングする方法
遮光性のある顔料は、光を吸収するカーボンブラックに限られる.樹脂容器の場合、練り込み、コーティング(塗装)とも用いられ、ガラス瓶にはコーティングが用いられる.しかしながら、このカーボンブラックを用いる方法は容器の色が当然黒系になってしまい、化粧品容器としてのデザイン性に大きな制約を与えてしまう.この問題を解決する方法として、黒色系の外観を白色系の層で覆い隠す手法がある.樹脂容器であれば多層構成にして、内側を黒色系(通常はグレー色)とし、外側を白色系にすると外観上は白色系に見せることができる.ガラス瓶であれば黒色系(通常はグレー色)の塗装を施した上から2回目の塗装を白色系で施すことにより、外観上は白色系に見せることができる.
(2)金属素材を用いる方法
金属素材には遮光性があり、アルミニウム箔を用いた容器やエアゾール缶(アルミニウム、ブリキ)などは遮光性容器である.アルミニウム箔を用いるには容器がシート形態からつくられる必要があるので、ラミネートタイプのチューブ容器やパウチ容器に限られる.
(3)アルミニウム蒸着を用いる方法
容器にアルミニウム蒸着を施すことにより遮光性を付与することができる.遮光した容器の光線透過率を図に示す.①の白色塗装ガラス瓶、②の白色顔料練り込みポリエチレンテレフタレート(PET)製容器、③の白色顔料練り込みポリエチレン製容器に対し、④のアルミラミネートタイプのチューブ容器、⑤の内側をグレー色、外側を白色にしたチューブ容器(内面グレーチューブ)の光透過率は、可視光領域(400〜800 nm)において数%以下である.(佐藤達夫)