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チューブ容器 [tube]

洗顔クリームやパック、ヘアトリートメントなどのクリーム状の内容物を、柔軟性のある筒状の胴部を押して、適量取り出せるようにした容器.チューブ容器はあらかじめキャップをはめた筒状容器の底部が開いた状態になっており、ここから内容物を充填して、筒状の底部を扁平に押しつぶし、樹脂製のものであれば加熱、金属製であれば折り曲げてシールする.広く開いた底部から充填できるため、クリーム状の内容物が充填しやすく、一方、口部は適量取り出すのに適した開口部を設けることができる.また、広口ジャー容器では、取り出すさいに内容物が汚染されてしまう可能性があるが、チューブ容器では、容器内の内容物は外部にさらされないため、汚染の懸念が少ない.一度取り出した内容物が再度、容器内に戻らないようにするために、口部に逆流防止弁を設けたものもある.
材質
樹脂製チューブであれば加熱シールが可能であるポリエチレンなどが用いられ、金属製チューブであれば成形性や押しやすさからアルミニウムが用いられる.容器胴部に柔軟性をもたせるために、厚みは約400〜500 mm程度の薄いものとなる.材質がポリエチレンの場合には、気体の透過、内容物のブリード(染み出し)など内容物の保護性に劣る場合もあり、その改善のために、ガスバリア性や耐油性のよいエチレン-ビニルアルコール共重合体などの樹脂やアルミニウム箔を中間に積層したもの(アルミラミネートチューブ)もある.現在は、化粧品ではおもに樹脂チューブが使用される.金属チューブはクリーム状のヘアカラーなどに限定されて使用される.
製造方法
チューブ容器の製造にはおもに2種類の方法がある.まずパイプ状に胴部を成形し、インサート成形により片端にヘッド部を接合する方法と、おもに練りわさびや辛子などの食品容器に用いられるブロー成形によって、胴部とヘッド部を一体に成形した後に底部をカットする方法である.さらに、前者のパイプ状の胴部をつくる方法には、①リング状の隙間から溶融樹脂を押し出す押出成形によってパイプ状の胴部を成形する方法と、②単層あるいは積層のシートを筒状に貼り合わせる方法がある.どちらも異なる素材を積層することができ、たとえば②の方法ではバリア性、遮光性に優れたアルミニウム箔を積層することができる.また、胴部を貼り合わせた後に、外側を押出成形によりパイプ状に樹脂をコーティングすることで貼り合わせ部分を隠して美観を高めることもある.後者のブロー成形ではとくに肩部(ヘッド部)も肉薄にできるため最後まで押し出しやすくすることができる.なお、金属チューブの場合は、インパクトプレス成形により硬貨状のアルミニウム部材から胴部とヘッド部が一体に成形される.通常は内容物による腐食を防止するために内面塗装が行われ、端部の折り曲げ部の内面には気密性を高めるため接着剤が塗布されている.(鳥居晶仁)

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