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角層細胞面積 [projected area of the corneocyte]

表皮の細胞は基底層から上に押し出され、約4週間で角層細胞となり、さらに角層を上がっていき2週間後に皮膚表面から垢(あか)となって落ちていく.この一連のプロセスをターンオーバーというが、角層細胞は角層を下から上に移動する間にしだいに扁平になり、面積もそれにつれて大きくなる.この角層の最外層にある細胞の面積のことをいう.乾癬(かんせん)という皮膚病にかかったり、皮膚に強い物理的刺激を加えたりすると表皮の細胞増殖が盛んになるため、ターンオーバー時間は短縮される.このような皮膚の部位では表皮の細胞は完全な角層細胞となることができず、失くなるはずの核が観察されたり、十分に扁平になる時間がないために角層細胞面積も小さくなったりする.角層細胞面積はターンオーバー時間に比例することがわかっており、ターンオーバー速度の指標として用いられている.その測定はまず粘着テープによって皮膚表面から最外層の角層細胞を剥離しスライドグラスへ転写・定着し、染色した角層標本を用意する.この標本を顕微鏡、拡大ビデオスコープなどを通してコンピュータに取り込み画像解析によって面積をはかる.角層細胞面積は年齢と正の相関がある.つまり年齢に依存して大きくなりターンオーバーが加齢により遅延することを示している.また、グルココルチコイドのような基底細胞の増殖を抑制する物質により、ターンオーバーが遅延し細胞面積は大きくなる.(奥田剛弘)

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