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くし通り [smoothness of combing]

毛髪にくしを通すときの通りやすさのこと.日常生活においてくし通りのよさは、実際に毛髪をくしまたはブラシでとかすときや、洗髪時、リンスやコンディショナーを使用後に洗い流すときの指通りのよさなどで実感できる.人が実感する毛髪のくし通りは、くしと毛髪との摩擦だけでなく、毛髪と毛髪との間に発生する摩擦、もつれにも関係する.つまり、摩擦力を測定することで、人が実感する毛髪のくし通りを数値化することができ、これはリンスやコンディショナー、アウトバストリートメントなどのヘアケア化粧品を開発する上での有効な手段となっている.なお、くし通りの悪い状態の髪にくしを無理して通すと、毛髪損傷につながる.
評価方法
摩擦力を測定するには、摩擦試験機を用いた方法がある.毛髪の両端に一定荷重となるおもりを装着してプーリー(滑車)にのせ、そのプーリーを毛髪の根元から毛先方向へと回転させて、毛髪とプーリーとの間に摩擦を生じさせる.この摩擦力は動摩擦係数として求めるものである.毛髪と毛髪の摩擦を考慮した方法に、ツイスト法がある.一端におもりを装着した2本の毛髪を一定回数交差させて、その状態を保ちながら毛髪を引っ張り、このときに要した力から動摩擦係数および静摩擦係数を求めるものである.より簡便な評価法としては、ばね秤につけた毛束にくしまたはブラシを通し、そのときのばね秤にかかる力を読み取り測定するというものがある.ばね秤にかかる力が小さいほど、くし通りがよいということになる.なお、毛髪の構造上、根元から毛先方向への摩擦力と、毛先から根元方向への摩擦力は大きく異なる.このため、これらの試験をするときには、通常くしを通すときと同様に、根元から毛先方向へ摩擦力がかかるように、そして試験毛髪のどちらが根元でどちらが毛先かを明確にし、混同のないように注意する必要がある.(石井景子、植村雅明)

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