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サンプロテクター [sun protector]

太陽光線中の紫外線を防御し、紫外線の悪影響から皮膚を守ることを目的とする化粧品.日焼け止め化粧品ともいう.目的・機能サンプロテクターは用途によって二つに大別される.
(1)日中用サンプロテクター
日常生活で浴びる紫外線を防御するための、主として顔用のサンプロテクター.日々の通勤・買い物・散歩・軽いスポーツなどの場面における紫外線を防御するためのもので、紫外線防御効果や耐汗性・耐皮脂性はそれほど高い必要はないが、日常的に使用するため、使用性のよさ・適度なスキンケア性・さらには化粧下地としての機能などを兼ね備えていることが求められる.
(2)レジャー用サンプロテクター
マリンスポーツやゴルフなど、強い太陽光に長時間さらされる屋外でのレジャーシーンにおける紫外線を防御するための全身用のサンプロテクター.十分に高い紫外線防御効果と高い耐汗性・耐皮脂性が求められる.サンスクリーン®と称される製品は、おもにこのタイプのものである.
紫外線防御機能
サンプロテクター製品における紫外線防御機能は基本的にUVBに対する防御機能の指数であるSPF値で表示されており、使用場面に応じた適切な製品を選択する必要がある.一般的なSPF値の目安としては、買い物や散歩程度の日常生活では15程度までのもの、屋外での軽いスポーツやレジャーでは15〜30程度のもの、海・山でのレジャーや炎天下の長時間の活動には30以上のもの、海外リゾートなどの紫外線がとくに強い場所用に50程度またはそれ以上のものがそれぞれ推奨される.わが国においてはSPF51以上のものは一律SPF50+と表示されている.また、UVAに対する防御機能はPA値で表示され、+、++、+++の3段階がある.UVAに対する防御効果としてこの表示法が確立されているのは、わが国のみである(2003年現在).高いSPF値を必要とされる場面では同時にPA値も高いものを使用するのが望ましい.なお、一般に、紫外線防御効果の高い製品ほど耐汗性・耐皮脂性にも配慮した処方設計になってはいるが、タオルでふいた後などはつけ直しをすることが重要である.
紫外線防御剤
サンプロテクター製品に配合される紫外線防御剤は、紫外線吸収剤と紫外線散乱剤の二つに分けられる.
(1)紫外線吸収剤
①皮膚に対する安全性が高いこと、②光や熱に対する安定性に優れていること、③化粧品の基剤と相溶性がよいこと、などが必要条件とされる.現在用いられているおもな紫外線吸収剤は、UVB領域の吸収効果に優れるメトキシケイ皮酸誘導体、UVA領域の吸収効果に優れるt-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、AB両方の領域の吸収効果を有するベンゾフェノン誘導体などである.従来汎用されていたパラアミノ安息香酸(PABA)類については安全性の懸念が指摘され、最近では使用されなくなっている.
(2)紫外線散乱剤
おもに超微粉子である二酸化チタンと酸化亜鉛(亜鉛華)が用いられる.二酸化チタンは白色度・カバー力に優れる白色顔料としてファンデーション類には欠くことのできない重要な成分であるが、紫外線散乱剤として用いられる二酸化チタンはそれよりもさらに微粒子のものである.粒子径の調整により散乱するUV領域をコントロールすることができるが、UVA領域の散乱効果を高めると塗布時の白さが際立つようになるため、主としてUVB領域の散乱剤として働く粒子径のものが汎用されている.酸化亜鉛も、紫外線散乱剤として用いられるのは顔料に通常使われるものに比べて粒子径が小さい.酸化チタン*と比較して塗布時の白さが少なくUVA、UVBの両領域をバランスよく散乱するという優れた機能を有するが、紫外線遮断効果そのものは酸化チタンに比べてやや低くなっている.また、酸化チタン、酸化亜鉛いずれも基剤への分散性を向上させるため疎水化処理などの表面処理がなされる場合も多い.これは製剤上の安定配合のための重要なポイントで、種々の表面処理技術が開発されている.
剤型
例として、まず紫外線防御剤として吸収剤のみを用いた水中油(o/w)型乳液タイプがある.SPFは15程度までのものが多いが、保湿乳液に近い使用感が得られるため、日中用サンプロテクターに多い.高いSPFの製品に多用されている剤型には、紫外線防御剤として吸収剤と散乱剤を用いた油中水(w/o)型乳液タイプがある.のびが軽く塗布しやすいため、ボディ用のサンプロテクターに適する.ただし紫外線散乱剤などの粉末が沈降しやすいため、塗布前によく振ってから使用するタイプが多い.そのほか、w/o型およびo/w型のクリームタイプ、オイルタイプなどもあり、最近ではエアゾールタイプや不織布に含浸させたタイプなども上市されている.(高橋淳)

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