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染色性 [color deposit]

ヘアカラーがもつ毛髪に着色する機能のこと.染色効果ともいう.ヘアカラーは白髪を着色し目立たなくしたり、色をつけたり、明るくすることで髪にバリエーションをもたせる.その染色性(染色効果)を定性的・定量的に評価することは、ヘアカラーの機能向上をはかっていく上で重要な点である.
評価には、白色布や白色ヤギ毛、白色ヤク毛、人毛(黒髪、白髪、白髪まじり黒髪)などを用い、それを染色する方法が用いられている.
白色布による試験は、JIS堅ろう度試験用添付白布を用いることで素材の不均一さがなく、つねに安定した条件で評価できるというメリットがある.色調の位置づけや、製品の品質管理に汎用されているが、人毛と発色が異なったり、黒髪の明度変化(明るさ)を評価することができないことから、最終的な仕上がり色を評価することはできない.白色ヤギ毛や白色ヤク毛を使う場合は、毛束に染色できることから白色布より人毛に近い条件で評価でき、価格も安いというメリットがあるが、白色布と同様の欠点ももつ.人毛は人頭に近い条件で試験でき、黒髪の明るさ、色調、白髪の目立ち具合など総合的な観点から評価ができるが、安定した品質のものを大量に入手するのが難しい場合もあり、また価格も割高になるという問題をもつ.
染色条件は、それぞれの製品の使用方法や設計目標に準じて設定される.とくに染色時間、染色温度は染色性に大きく影響するため厳密に設定する必要がある.一般には、25〜30 ℃、20〜30分程度行われる.
染色性の評価は、機器を用いた測定技術が広まっていないころには、目視により判定されJIS標準色表の色表示で表されていた.しかし、あいまいさや再現性に乏しくデータの蓄積にも不向きであることから、現在では、測色計を用いて色を数値化して表す測色法が一般化してきている.測色法はL*a*b*表色法とよばれる方法がよく用いられ、染色効果をL*値(明るさ)、a*値(+赤み、−緑み)、b*値(+黄み、−青み)の座標上の位置づけや、色差(ΔE)で数値化し比較評価している.こうしてこれまで官能に頼っていた染色性が、統計的、系統的に評価できるようになり、基剤pHやアルカリ量、基剤剤型(液状、クリーム状)、基剤構成成分(油分、保湿剤、活性剤)、有効成分など染色性に及ぼす効果がさまざまな面から検討され、ヘアカラーの機能向上がはかられている.(神戸哲也)

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