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糖化反応 [glycation]
グルコース(ブドウ糖)やリボースなどの糖によるタンパク質の化学修飾反応のこと.一般に糖化、グリケーション、発見者の名にちなんでメイラード反応ともよばれる.タンパク質中のリジン残基のアミノ基あるいはアルギニン残基のグアニジル基と糖のカルボニル基が非酵素的に反応し、シッフ塩基、アマドリ転位産物を生成する前期反応とさらに脱水、酸化、縮合、転位などの反応が進行して複雑な構造体を形成する後期反応からなる(→架橋の図).その結果、タンパク質は正常な機能を呈することができなくなり、生体としてさまざまな障害が現れる.また、グルコースなどの糖は紫外線により自己酸化反応を行うため、紫外線により糖化反応が促進される.血液中の濃度が高い糖尿病患者では、老化と似た症状、たとえば白内障や動脈硬化が多発することから、老化には糖化反応の関与が示唆されている.なおコラーゲンやエラスチンなどは生体内での代謝回転が遅く、ターンオーバーの非常に長いタンパク質であるが、このようなタンパク質は、より糖化反応を受ける機会が高い.実際、皮膚中で糖化反応を受けるコラーゲンの割合は、加齢とともに増加する.(圷信子、岡野由利)