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塗膜物性 [film property]

パック剤、ヘアスタイリング剤ネイルエナメルアイライナーマスカラなどに使用される被膜剤の乾燥塗膜の光学的、力学的、化学的などの性質のこと.被膜剤のもとになる樹脂にはアクリル系、ポリビニルアルコール系、シリコーン系などさまざまな種類のものがあり、多くは高分子(ポリマー)で、その分子量によっても性質が変化する.また、配合される溶剤、塗膜を可塑化する油分、含有する粉末の性質なども塗膜物性に影響を与える.さらには、被膜剤のもとになる樹脂を混合するポリマーブレンドという試みも行われている.ポリマーの分子量ポリマーの分子量は小さいほど流動性がよく、被塗布物との濡れはよいが凝集力は弱い.反対にポリマーの分子量が大きいほど凝集力は強いが濡れ性が悪い.条件が一定であれば、塗膜の接着力は、このポリマーの大きさによる凝集力と濡れ性のバランスにより決定される.溶剤の影響塗膜が形成するさい、溶剤の揮発により塗膜が収縮する.配合される溶剤の性質により、蒸発速度や溶解性が変化するため、塗膜の構造や内部のひずみ(内部応力)が変化し、接着性や成膜性に影響を及ぼすと考えられる.可塑化油分の影響内部応力を少なくする方法としては、可塑化油分を配合する方法がある.可塑化油分は塗膜に柔軟性を与え、内部応力を減少させることができるため、適切な可塑化油分を選択することにより塗膜の接着性や成膜性が向上する.粉末の影響粉末を配合された塗膜は、配合された粉末の種類、量、形状などにより物性が変化する.一般に、粉末を加えると塗膜の弾性率と内部応力が増加するが、球状粉末*は接着性に悪影響を与え、一方、板状粉末*は好影響を与えるといわれる.ポリマーブレンド1種類のポリマーでは足りない性質があっても、その長所、短所を補い合うような基剤樹脂をさまざまに組み合わせて配合すること.これにより、性質が自由に変えられる.評価方法硬さ、接着性、耐久性、耐水性、耐油性、耐摩擦性などが評価される.評価方法はさまざまで、これまで繊維、フィルムを対象に行われてきたものが最近、塗膜に応用されるようになってきた.おもなものには、引っかき硬度(被膜硬度)、引っ張り試験*、せん断試験、剥離試験、クロスカットなどがある.(南孝司)

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