LIBRARY ライブラリー

濡れ [wetting]

固体-気体間の界面が消失して、新たに固体-液体間の界面が生じる現象.固体の表面はふつう空気(気体)と接触しており、気体を吸着しているために固体-気体界面ができている.固体が液体と直接接触するためには、液体が固体-気体間の界面を押しのけなければならないという状況から起こる.濡れることにより新たな界面ができる場合、それに伴い自由エネルギーの変化がかならず起こる.界面張力は単位あたりの仕事のエネルギーであるから、濡れによる自由エネルギーの変化は界面張力の変化に等しい.図のように空気(気相)、水(液相)、固体(固相)が共存して接触角θを保って平衡状態になっているとき、固体の表面張力(γS/A)、水の表面張力(γL/A)、水-固体間の界面張力(γS/L)のつり合いは次式(ヤングの式)で示される.
γS/A=γS/L+γL/Acosθ
この水滴中に界面活性剤が溶解すると、界面活性剤は水の表面および固-液界面に吸着し、界面張力を下げる.式の右辺の二つの項がともに小さくなり、水滴はγS/Aに引っ張られ、接触角θが小さくなり、濡れが進行する.(鈴木敏幸)

用語検索

索引