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発汗 [sweating]

皮膚にある汗腺から汗を分泌すること.触覚や視覚によって知覚され、ヒトには、重要な蒸発性熱放散反応である.汗の中には、塩化ナトリウム、尿素乳酸アミノ酸、アンモニア、などが含まれ、発汗量は通常1日あたり600〜700mLであるが、夏季や運動時には4〜10Lに達する.汗腺の分布は、手掌と足底がもっとも密であり、次いで額部に多い.汗腺は交感神経によって支配されているが、交感神経節後線維から汗腺への神経伝達物質はアセチルコリンであり、発汗はアロロピンによって抑制され、ピロカルピンによって促進される.発汗は温熱性発汗、精神性発汗、味覚性発汗に大別される.温熱性発汗は、温熱刺激によって、全身で発現する体温調節反応の一つで、環境温度あるいは生体内の温度が上昇すると、視床下部の体温調節中枢を介して起こる.環境温度の上昇に伴い、29〜31℃で発汗は急激に増加する.そして、汗の水分が皮膚表面から蒸発するさいに気化熱が奪われ、体温低下の方向に作用する.精神性発汗は、精神的緊張や感動によって手掌、足底、腋窩(えきか)に起こる一過性の発汗をいう.この発汗は体温調節とは無関係で、体温調節中枢とはかかわりなく、その中枢は大脳皮質にある.味覚性発汗は、からし、こしょう、わさびなど、辛いものや酸っぱいものを食べたときの強い味覚刺激によって顔面に発汗することをいう.(土屋徹)

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