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バニラアブソリュート [vanilla absolute]

蔓(つる)性のラン科植物バニラで、Vanilla planifolia AndrewsとVanilla tahitiense Mooreの2種の鞘(さや)を熟成、乾燥させたバニラビーンズから溶剤抽出法により得られる精油.もともと、メキシコのみで生産されていたが、人工受粉の成功とともに世界各地で生産されるようになった.Vanilla planifolia Andrewsにはメキシコ産のメキシコ豆や、マダガスカル、レユニオン、セイシェルなどで産出されるブルボン豆がある.世界の約8割をこのブルボン豆が占めている.Vanilla tahitiense Mooreにはタヒチ豆があり、タヒチやその近隣諸島で生産されている.バニラビーンズを得るためには、収穫したての緑色の鞘を加熱して、酵素活性を高め熟成を促進させ、微生物が繁殖しなくなるまで水分含量を減らすための人為的な乾燥を行う工程(キュアリング)が必要である.この工程を経て、初めてバニラ独特の甘い芳香が漂い、バニラ香気の主成分であるバニリンが生成される.また、ブルボン豆はフェノール化合物の含量が高く、タヒチ豆ではアニス系化合物の含量が多いことから産地により香気に差があることも知られている.用途としてはバニラフレーバーとしておもに食品香料に使用される.(木内さおり)

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