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溶剤抽出法 [solvent extraction]
揮発性有機溶剤(石油エーテル、ヘキサン、アセトン、エタノール)を使って、植物から植物油、活性成分、天然香料などを抽出する方法.ほかの抽出法と比較すると効率的に、変質させずに目的物を取り出させるという特徴がある.香料の場合は水蒸気蒸留法では熱がかかって、香りが変質するおそれのある素材に採用され、実際に咲いている花と大差ない香りが採取できる.ジャスミンの花から天然香料を抽出する場合を例にとる.まず、釜(タンク)の格子の上に花を入れ、その上に格子を置いて花を置くことを繰り返し、いっぱいにする.次に、抽出力の強い有機溶剤である石油エーテルやヘキサンを低温で吹き込んで抽出する.石油エーテルやヘキサンは、香りだけでなくワックス部分も抽出するので、抽出物は室温で固まっている.これをコンクリートとよぶ.ジャスミンの場合、コンクリートは花の全体量の約0.3%くらいしかとれない.このコンクリートから香りのみを取り出し、ワックス部分を分離するために、ワックス部分を分離しやすいエタノールで再抽出する.これででき上がったものがアブソリュートで、ジャスミンアブソリュートはコンクリートから約50%とれる.したがって、ジャスミンアブソリュートは花からは約0.15%しかとれないことになる.なお、樹脂やその浸出物(ガム、レジン、バルサム)の石油エーテル、ヘキサンやエタノールによる抽出物のことをレジノイドといっている.また、食品香料の場合には味をも再現するために、植物をアセトンや含水エタノール(エタノールと水の混合物)で抽出するが、この抽出物はオレオレジンとよばれる.(浅越亨)