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ウォータープルーフ [water-proof]
塗布した化粧膜が、汗や涙、水で取れない効果のこと.耐水性ともいう.メークアップ化粧品において、きれいな仕上がりを持続することは重要であり、もっとも望まれる機能の一つである.化粧もち(色もち)を持続するためには、物理的なこすれに強く、皮脂や汗で崩れないことが求められるが、なかでもとくにウォータープルーフ効果は、汗をかきやすい夏場や湿気の多い季節には必要不可欠な機能である(図).ウォータープルーフ効果を発現するには、はっ水性と吸水性効果が重要であり、それらを向上させるために、製剤化においてさまざまな工夫がされている.以下にその特徴を列記する.
剤型の工夫
リキッドファンデーションやマスカラなどの液状の基剤においては、油性タイプまたは油中水(w/o)型が多く用いられる.水系や水中油(o/w)型は活性剤や増粘剤が水となじみやすいために、もちろん好ましくはない.また、パウダーファンデーションやアイシャドーなどの固形状の場合は、油性タイプまたは疎水化処理粉末と油分で構成された粉末固形タイプが主流で、粉末を疎水化することが重要な要素である.
粉末の工夫
親水性である粉末にはっ水性をもたせるため、さまざまな疎水化処理が施される.処理剤にははっ水効果の高い成分が用いられ、たとえばシリコーン処理、脂肪酸石けん処理、フッ素化合物処理などがなされる(→疎水化処理粉末、表面処理).また、水をはじくのではなく吸収して効果を出す吸水性粉末を配合する場合がある.多くは多孔質粉末であり、マイクロスポンジともいわれ、スポンジが水を吸う原理と同じ効果をもつ.これには、二酸化ケイ素(シリカ)やポリメタクリル酸メチル(PMMA)、アルギン酸ナトリウムなどが用いられる.
油分の工夫
油は基本的に水と混ざらないが、皮脂にも溶けないもので化粧もち効果が高い油分が必要で、このためには、シリコーン油やフッ素系油などが多く用いられる.また、環状シリコーンなどの揮発性油分が使用感向上のため用いられることも多い.
皮膜剤の工夫
口紅やファンデーション、マスカラなどの基剤に配合される場合がある.化粧膜を固定化するためには、皮膜剤を配合することがもっとも効果が高いと考えられ、近年流行した落ちない口紅やウォータープルーフマスカラには、皮膜剤が多く配合されている.皮膜剤の多くは高分子化合物であり、シリコーンレジン、フッ素系レジン、アクリル酸系の樹脂が用いられる(→皮膜形成高分子).ウォータープルーフの評価は、実際にプールで泳いだり、水をかけてテストする.また、化粧膜の水との接触角を測定して判定することも多い.(南孝司)