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表情筋 [muscle's of facial expression、 musculi faciales]
顔面筋のうち表情をつくる筋のことで、眼、鼻、口の開閉や、耳の運動をつかさどる．しかし、食物を咀嚼（そしゃく）するために口を開閉する咀嚼筋とは区別される．また、顔面頭蓋から発して顔面皮膚に付着しているのが特徴で、運動筋ではあるがほかの骨格筋とは区別して皮筋とよばれる．ヒトの表情筋は約30種あり、ほかの動物に比べてよく分化、発達している．表情筋は互いに協同的、拮抗的に作動することで種々の表情を形成して喜怒哀楽の感情などを表す．その表情筋の動きにより、表情じわ＊が生じる場合もある．（江浜律子）表情じわ人が笑ったり眉をひそめたりしたときに、皮膚が変形してできるしわのこと．皮膚は表情筋ほど伸縮性がないので、表情筋の運動に応じてしわを形成するなど形を変えて合わせることになる．その結果、全体として特定のしわパターンを形成して、感情などを表現することができる．表情筋は筋肉線維の方向に運動するので、表情じわはこれに直角方向に形成される．たとえば前頭筋を上下させると額には水平方向のしわができる．このようなしわは加齢には関係なく、若年者や子どもでも観察され、表情の復元と同時に消失する一過性のしわである．しかしながら、加齢とともに表情筋が収縮し、また加齢や日光暴露により真皮のエラスチン線維（弾性線維）が脆弱化してくると、こうした一時的な皮膚変形がもとに戻りにくくなり、結果しだいに恒常的なしわとして残っていくと考えられている．（江浜律子）