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フリップフロップ効果 [flip-flop effect]
正反射光強度と拡散反射光強度との差の大きい粉体を配合することで光と影の自然なコントラストを発生させ、顔の輪郭をはっきりと立体的に見せる効果のこと(図1).一般にパール剤やアスペクト比の高い板状粉体は、正反射方向へ光を反射する特性が高く拡散方向への光反射強度は弱い.そのためこれらの粉体には反射光強度差が生じフリップフロップ効果が発現する.フリップフロップ効果のメークアップへの応用として陰影効果(スリミング効果:顔をすっきりと見せる効果)があげられる.絵画の世界でもレオナルド・ダ・ビンチはこの陰影効果を有効に駆使して数々の名画を描きあげてきたが、最近のファンデーションにも顔をほっそりと見せる仕上りの“小顔”ニーズがある.従来は着色顔料の濃淡を使い分けて明暗を表現してきたが、この手法だと正面以外の角度から見たときに暗色部分が目立ち、不自然な仕上がりとなる欠点がある.フリップフロップ効果を利用すれば輪郭部分の反射がコントロールされ、光と影のコントラスト調整できるため、どの角度から見ても自然な陰影効果が得られる(図2).フリップフロップ効果をより効率的に発現させるために開発された粉体に低次酸化チタン被覆雲母がある.低次酸化チタン被覆雲母は従来のパール剤(酸化チタン被覆雲母)の表面酸化チタンを還元して低次酸化チタンとしたものである.低次酸化チタンは通常の酸化チタンよりも屈折率が低いため入射光に対する反射光の角度依存性が強く、かつ色調が黒色なので角度による色調変化率が大きいためフリップフロップ性が高く発現する.(南孝司)