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パール剤 [pearl、 pearly pigment]
金属表面のように、光を正反射し、強い光を感じる仕上りや、真珠や虹のようないろいろな色を発する仕上り、いわゆるパール感を演出する特性をもった素材を一般的にパール剤といい、ラスター剤、真珠光沢顔料ともよばれる.メークアップ化粧品の代表的な質感であるマット、フォギー、シマー、グロッシー、パール感(パーリィー)の中で、パール感を表現するためになくてはならない素材である.
歴史
魚の鱗(うろこ)を原料とするパールエッセンスが、1656年にフランスのJaczuinによって発見され、以来、人造真珠の工業的な製造が開始されたといわれている.天然のパールエッセンスは高価だったことから、さまざまな素材が試され、1965年にDupont社によって二酸化チタン被覆雲母(雲母チタン)が開発された.これが、近年のメークアップ化粧品に使用されているパール剤の主流となっている.
進化
さまざまな化粧品基剤に配合したときの安定性が良好であることや比較的に安価であることなどから、雲母チタンをベースにしたものが長い間主流であったが、近年では、より新しい質感を求める女性の要望に応えるべく、さまざまな種類のパール剤やラメ剤が開発されつつある(図).代表的な素材としては、基板をマイカの代わりに、より白色度の高い合成マイカ(合成フッ素金雲母)、高い隠ぺい性をもつアルミニウム、高輝度を有するホウケイ酸ガラス、アルミナ、二酸化ケイ素(シリカ)などを用いたもの、また、被覆物を酸化チタンの代わりに、シリカ、金、銀などを応用したものなどがある.それらの質感は、従来の雲母チタンでは得られなかった輝き、二色効果、点在感、メタリック感に優れるものである.(南孝司)