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プロテアーゼ [protease]

タンパク質分解酵素の総称.タンパク質は、アミノ酸がペプチド結合によって連結している高分子であり、そのペプチド結合を加水分解により切断する酵素がプロテアーゼである.きわめて多種のプロテアーゼが生物界に広く分布し、さまざまな生命現象に関与している.その作用様式や構造からいくつかのタイプに分類される.
分類
(1)エンドペプチダーゼとエキソペプチダーゼ
ペプチドのN末端あるいはC末端からアミノ酸を一つずつ遊離させるプロテアーゼをエキソペプチダーゼといい、N末端から分解するものをアミノペプチダーゼ、C末端から分解するものをカルボキシペプチダーゼという.これに対して、ペプチドの中を分解するプロテアーゼをエンドペプチダーゼという.特定のアミノ酸残基を認識して分解するものが多い.
(2)セリンプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、チオールプロテアーゼ、メタロプロテアーゼ
活性中心にかかわるアミノ酸残基などに基づいて、セリンプロテアーゼ(トリプシンキモトリプシンなど)、アスパラギン酸プロテアーゼ(酸性プロテアーゼともいう.ペプシンなど)、チオールプロテアーゼ(カルパイン、カスパーゼなど)、メタロプロテアーゼ(マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)など)に分類される.なお、これらの分類の中でも特殊なプロテアーゼが存在し、さらにはこれらの分類には属さない新しいタイプのプロテアーゼ(プロテアソームなど)も同定されてきている.
働き
プロテアーゼの生体内における役割は多岐に及ぶが、その活性は巧妙に調節されている.すなわち、プロテアーゼインヒビターによる活性阻害、別のプロテアーゼによる活性化、pHなどの環境要因、細胞内あるいは組織内の局在などによって、プロテアーゼは適材適所に機能するようにコントロールされている.また、ほかの酵素タンパクの一部を限定分解することによって、その酵素活性を調節する例も多い.(平尾哲二)

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