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プロテオグリカン [proteoglycan]
グリコサミノグリカン(GAG)がコアタンパク質とよばれるタンパク質に共有結合した複合体をいう.その分子種によって、結合するグリコサミノグリカンのサイズと本数は大きく異なる.ほかのマトリックス成分と結合する性質をもつプロテオグリカンは、高い粘性や弾性をもち、また吸収した多量の水分子が大きな容積を占めるグリコサミノグリカン部分と、その機能が適切な場所で発揮できるようにコアタンパク質部分からなる分子会合体であるといえる.
ヒアルロン酸と会合体をつくるプロテオグリカン
コンドロイチン硫酸鎖をもつ大型のプロテオグリカンファミリーは、コアタンパク質にヒアルロン酸結合活性があり、ヒアルロン酸を含んだきわめて大きな会合体をつくりその機能を果たしている.皮膚では線維芽細胞や毛乳頭細胞が合成するバーシカンがこのファミリーに属す.
コラーゲン線維(膠原線維)形成を制御するプロテオグリカン
コンドロイチン硫酸とデルマタン硫酸成分の混合鎖をもつ低分子プロテオグリカンにデコリン、ビグリカンなどがある.デコリンは、皮膚、腱、骨、大動脈などにあり、コラーゲン線維の太さを調節する機能があるといわれている.
基底膜プロテオグリカン
基底膜構造を形成するのがこの分子の機能である.へパラン硫酸鎖からなる大型のプロテオグリカンはパールカンとよばれ、このコアタンパク質が基底膜のラミニンなどと結合、またへパラン硫酸鎖とIV型コラーゲンが特異的に結合することも知られている.
細胞膜結合型プロテオグリカン
コアタンパク質の一部が細胞膜貫通ドメインをもち、細胞表面に分布するプロテオグリカンの一群.おもなものはシンデカンファミリーである.それ自体が接着分子のレセプターとしての機能をもち、細胞増殖因子の制御因子としての機能も知られている.また、器官形成との関係が注目されている.(西山敏夫)