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線維芽細胞 [fibroblast]
全身の結合組織に散在している中胚葉由来の細胞(図).ファイブロブラストともいう.皮膚では真皮に存在し、真皮あるいは基底膜中のコラーゲン線維、エラスチン線維を含めた細胞外マトリックスの合成と分解という代謝を行う.そのほか、産生した細胞外マトリックスを構築し、編成している.組織が損傷すると周囲の組織から線維芽細胞が遊走、増殖し、コラーゲンを合成することにより治癒する.
採取した皮膚組織片の表皮側を上に真皮側を下にしてシャーレに付着後、培養液を加えて培養をつづけると組織片からシャーレ面に向かって線維芽細胞が遊走し、増殖する.このようにして増殖した細胞あるいは継代した細胞を用いて、実験室で培養実験が可能である.培養細胞を用いた実験から、線維芽細胞の培養分裂回数が有限であること、その分裂回数は細胞提供者の年齢と負の相関があること、また、線維芽細胞の由来した動物種の寿命と負の相関があることなどが明らかにされている.若齢者から採取した線維芽細胞を実験室内で何度も分裂、増殖した継代数の高い細胞(in vitro加齢細胞)は、分裂させる前に比べて細胞老化が進んでいると考えられる.というのは継代数の高い細胞は、年齢の高い人から採取した細胞(in vivo加齢細胞)と類似の形態および細胞活性レベルの変化を示すからである.加齢に伴い、真皮中のコラーゲン線維は細くなりコラーゲン量は減少し、in vitro加齢させた線維芽細胞ではコラーゲン合成能が低下し、コラゲナーゼmRNAレベルが増加していることが明らかにされている.(圷信子)