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ベチバー油 [vetiver oil]
イネ科の多年生植物ベチバー(Vetiverian zizanoides Stapf.)の根から水蒸気蒸留法で得られる暗褐色の粘性のある精油.ベチバーは、熱帯から亜熱帯にかけて生育し、原産はインドであるが、インドネシア、レユニオン、ハイチなどのほかにブラジル、中国などで栽培されている.草の形態はススキに似ているが丈は2 mにも達し、幅1 cm程度の細長い葉を有する.この葉の部分には精油分はほとんど含まれない.精油は根にあり、乾燥させて採取する.おもな香気成分は、ベチボン、クシモール、ベチセリネノールなどである.クシモールやベチセリネノールなどの混合物は総称でベチベロールとよばれている.ベチバー油は重く力強いウッディノートの香りであり、重厚なオリエンタル調、シプレー調、フゼア調などからフローラルブーケ調の香りに至るまで幅広い香調のベースノートとして使用される.また香りの保留性に富むため、保留剤として使われる.(中村充志)