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毛髪のケア [care for hair]
皮膚表面から出ている毛幹に加えられた損傷は、基本的に修復不可能であり、永続するものである.毛髪の機械的損傷を予防し、化学的損傷を避けて、キューティクル(毛小皮)の健康維持に努めることが、毛髪のケアにおいてもっとも大切な点であり、そのため、各種のヘアトリートメント剤、同等の効果を有するシャンプーやリンスが使われる.シャンプーのさいの注意としては、毛幹は水分を含んでかなり膨潤するため、あまりこすらないことが大切である.ぬれた髪にブラシを使うのも、毛髪を物理的にかなり傷つけるので勧められない.また、乾性の毛髪は、頻繁にシャンプーを行うと、毛髪損傷を起こすことがある.シャンプー後は、乳化した製剤を補給して、毛の保全をはかることが必要である.この目的で使用されているのがヘアリンス、ヘアトリートメントである.これらに配合されている陽イオン性界面活性剤は毛髪に吸着される力が強く、単分子膜を形成して静電気の発生を抑制するため、ブラッシングが抵抗なく行える.これは、ヘアケアでもっとも重要な点の一つである.枝毛、裂け毛のケア枝毛となった毛幹の毛根部では、キューティクルの枚数は健康毛と変わらない.しかし、枝毛になった長さ30 cmの女性の毛髪を調べると10 cm毛先では減少し、30 cmの先端では0枚となる.したがってキューティクルが少ない状態で、日常的にシャンプーやブラッシングなどの物理刺激を受けていることとなる.枝毛、裂毛の対策としては、枝毛コート剤があり、これは高分子シリコーンにより、はがれたキューティクルを一時的に埋めることにより枝毛の広がりをおさえ、毛髪をなめらかにし、くし通りをよくすることができる.もっとも好ましいケアは、毛先をこまめにカットするか、枝毛コート剤でトリートメントし、枝毛、裂毛を防ぐことである.(濵田和人)